The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

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日本語アブストラクト

August 13, 1998 Vol. 339 No. 7

重症地中海貧血に対するデフェリプロンによる鉄キレート療法の長期安全性と有効性
LONG - TERM SAFETY AND EFFECTIVENESS OF IRON - CHELATION THERAPY WITH DEFERIPRONE FOR THALASSEMIA MAJOR

N.F. OLIVIERI AND OTHERS

背景

 デフェリプロンは,重症地中海貧血における鉄過剰に対する治療として現在評価中の経口活性鉄キレート剤である.動物モデルにおける試験では,持続的な治療においてデフェリプロンの有効性の低下および肝線維症の増悪が起ることが示された.

方 法

 肝臓の鉄貯蔵は毎年,肝生検標本の化学分析,磁気測定,またはその双方によって求めた.患者の臨床状態,標本が採取された時期,および標本の鉄含量を知らない 3 人の肝臓病理学者が,デフェリプロンで 1 年以上治療した患者 19 人から得た 72 の生検標本を調べた.比較のため,非経口デフェロキサミンで 1 年以上治療した患者 20 人から採取した 48 の肝生検標本についても再検討した.

結 果

 デフェリプロン治療患者 19 人の中で,18 人が平均(± SE)で 4.6 ± 0.3 年間連続して薬物を投与されていた.最終分析では,18 人中 7 人の肝臓の鉄濃度は,少なくとも 80 m mol / g 肝臓湿重量であった(これ以上の値では,重症地中海貧血患者では心疾患および早期死亡のリスクが増加する).1 年以上のあいだに複数回の生検を行った患者 19 人のうち,肝線維症の進行に関して評価できたのは 14 人であった; デフェロキサミン治療患者 20 人では,進行に関して評価できたのは 12 人であった.デフェリプロン治療患者では 5 人に線維症が進行したのに対し,デフェロキサミン投与患者では皆無であった(p = 0.04).生命表法により,線維症の進行までの期間の中央値は,デフェリプロン治療患者で 3.2 年と推定した.最初の肝臓鉄濃度に関して補正したあとでは,線維症進行の推定オッズはデフェリプロン治療を毎年行うごとに 5.8 倍増加した(95%信頼区間,1.1 ~ 29.6).

結 論

 デフェリプロンは,地中海貧血患者における体内の鉄負荷を適切にコントロールせず,肝線維症を悪化させる可能性がある.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 1998; 339 : 417 - 23. )