The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

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日本語アブストラクト

March 16, 2000 Vol. 342 No. 11

デスミンミオパシー,デスミン遺伝子の突然変異による心筋ミオパシーを伴った骨格筋ミオパシー
Desmin Myopathy, a Skeletal Myopathy with Cardiomyopathy Caused by Mutations in the Desmin Gene

M.C. DALAKAS AND OTHERS

背景

 筋原線維性ミオパシーは,遺伝性あるいは散発性の心筋ミオパシーと関連する骨格筋ミオパシーの多様な疾患群である.この疾患の患者の筋線維内に蓄積している筋原線維タンパク質のうち,もっとも共通して認められるタンパク質の一つがデスミンである.デスミンタンパク質は,筋原線維の構造形成に責任を負っている中間径フィラメントのタンパク質の 1 種である.デスミン欠損マウスには骨格筋ミオパシーと心筋ミオパシーが発症するので,このデスミン遺伝子の突然変異が,これらのミオパシーの病因になっている可能性がある.

方 法

 遺伝性の筋原線維性ミオパシーあるいはデスミン関連ミオパシーの 8 家族,22 例の患者と,散発性ミオパシーの 2 例の患者について検討した.デスミン遺伝子の突然変異の分析は,筋生検の組織検体から増幅した相補的 DNA(cDNA)と血中のリンパ球から抽出したゲノム DNA を用いて行い,その確認には制限酵素による分析を用いた.正常型あるいは変異型のデスミン cDNA を挿入した発現ベクターを培養細胞に導入し,変異型のデスミンが中間径フィラメントを形成するかどうかを調べた.

結 果

 デスミン遺伝子のコード領域に,アミノ酸の 1 個を置換させているミスセンス突然変異が 11 例の患者(4 家族の 10 例と散発性ミオパシーの 1 例の患者)で,6 種類,同定された;もう 1 例の散発性ミオパシーの患者には,エクソン 3 を欠失させてしまうスプライシングの欠陥が同定された.これらの突然変異は,桿状領域の C 末端部分に群集していたが,ここはフィラメントの集合に非常に重要な部分である.トランスフェクト細胞において,変異型のデスミンは,繊維状のネットワークを形成することができなかった.デスミン遺伝子に突然変異が同定された 12 例の患者のうちの 7 例は,心筋ミオパシーを併発していた.

結 論

 中間径フィラメントに影響を及ぼすデスミン遺伝子の突然変異は,しばしば心筋ミオパシーとの関連があり,“デスミンミオパシー”と呼ばれている独特なミオパシーを引き起す.変異型のデスミンは,中間径フィラメントの正常な集合を妨害し,その結果として,筋原線維の脆弱化と骨格筋および心筋の高度機能障害を引き起す.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2000; 342 : 770 - 80. )