α-ラクトアルブミン・オレイン酸の局所投与による皮膚乳頭腫の治療
Treatment of Skin Papillomas with Topical α-Lactalbumin-Oleic Acid
L. Gustafsson and Others
α-ラクトアルブミンとオレイン酸の複合体(多くの場合,腫瘍細胞に致死的なヒトα-ラクトアルブミン [human α-lactalbumin made lethal to tumor cells; HAMLET]と呼ばれる)は,形質転換細胞を死滅させるが正常な分化細胞は死滅させないという説を証明する目的で,α-ラクトアルブミン・オレイン酸を局所投与し,皮膚乳頭腫に対する効果を検討した.
従来の治療に抵抗性を示す皮膚乳頭腫の患者 40 例を,α-ラクトアルブミン・オレイン酸または生理食塩水のプラセボを連日 3 週間局所投与する無作為プラセボ対照二重盲検試験に登録し,各病変の容積の変化を記録した.試験の第 1 期終了後,34 例は第 2 期の非盲検試験に参加し,α-ラクトアルブミン・オレイン酸による治療を 3 週間受けた.非盲検試験終了の約 2 年後,第 1 期の参加者 40 例のうち 38 例を調査し,長期追跡データを得た.
試験第 1 期では,α-ラクトアルブミン・オレイン酸群の患者 20 例すべてで,乳頭腫病変の容積が 75%以上縮小した.これは,合計 92 個の病変のうち 88 個で認められた.プラセボ群で同様の効果がみられたのは,20 例中 3 例(乳頭腫病変 74 個中 15 個)であった(P<0.001).第 1 期にプラセボ群であった患者に第 2 期でα-ラクトアルブミン・オレイン酸を投与したところ,病変の容積が中央値で 82%縮小した.第 2 期終了 2 年後に行った追跡では,α-ラクトアルブミン・オレイン酸で治療した患者の 83%で,すべての病変が完全に消退していた.また,第 1 期でプラセボ群に割付けられた患者よりも,第 1 期でα-ラクトアルブミン・オレイン酸群に割付けられた患者のほうが,消退までの期間が短かった(2.4 ヵ月 対 9.9 ヵ月;P<0.01).有害反応の報告はなく,また,正常な免疫能をもつ患者と免疫抑制状態の患者のあいだで,治療転帰に差はなかった.
α-ラクトアルブミン・オレイン酸を用いた治療には,皮膚乳頭腫に対し,有益で持続的な効果がある.