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July 28, 2011 Vol. 365 No. 4

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HLA 不適合の腎レシピエントに対する脱感作療法と生存
Desensitization in HLA-Incompatible Kidney Recipients and Survival

R.A. Montgomery and Others

背景

米国では,腎移植候補者のうち, HLA に感作された患者は 20,000 例を超えている.そのような患者では待機期間が長くなる可能性があり,移植率が低く,死亡率が高い.解決策の一つは,ドナー特異的抗 HLA 抗体を除去したあとに行う生体腎移植である.抗体除去によって,HLA 適合腎の待機と比較して,生存上の利益がもたらされるかどうかは明らかにされていない.

方 法

HLA に感作された患者 211 例に対し,血漿交換と低用量免疫グロブリン静注による脱感作プロトコールを用い,その後腎移植を行った(脱感作療法群).この脱感作療法群と,注意深くマッチさせた 2 つの対照群;腎移植待機リストに登録され,透析を継続して受けた患者(透析単独群),透析または HLA 適合移植を受けた患者(透析/移植群)とで,死亡率を比較した.

結 果

脱感作療法群における患者生存率の Kaplan–Meier 推定値は,1 年の時点で 90.6%,3 年の時点で 85.7%,5 年の時点で 80.6%,8 年の時点で 80.6%であったのに対し,透析単独群ではそれぞれ 91.1%,67.2%,51.5%,30.5%であり,透析/移植群ではそれぞれ 93.1%,77.0%,65.6%,49.1%であった(両比較について P<0.001).

結 論

HLA に感作された患者において,脱感作後に行う生体移植は,HLA 適合臓器の待機に比べ,有意な生存上の利益がもたらされた.この生存上の優位性は 8 年後までに 2 倍以上となった.このデータは,脱感作プロトコールが生体腎移植における不適合という障壁の克服に役立つ可能性を示すものである.(米国国立糖尿病・消化器病・腎臓病研究所,チャールズ・T・バウアー基金から研究助成を受けた.)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2011; 365 : 318 - 26. )