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March 8, 2012 Vol. 366 No. 10

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中等度~高度のアルツハイマー病に対するドネペジルとメマンチン
Donepezil and Memantine for Moderate-to-Severe Alzheimer's Disease

R. Howard and Others

背景

臨床試験によって,軽度~中等度アルツハイマー病の治療におけるコリンエステラーゼ阻害薬の効果が示されている.中等度~高度に進行しても治療の利益が持続するかどうかは明らかになっていない.

方 法

地域在住のアルツハイマー病患者で,3 ヵ月以上のドネペジル投与歴があり,重症度が中等度または高度(標準化ミニメンタルステート検査 [SMMSE;0~30 で,スコアが高いほど認知機能が良好であることを示す] のスコアが 5~13)であった 295 例を,ドネペジル+メマンチンのプラセボ群,ドネペジルのプラセボ+メマンチンのプラセボ群,ドネペジルのプラセボ+メマンチン群,ドネペジル+メマンチン群のいずれかに割り付けた.試験治療は 52 週間行った.共同主要転帰は,SMMSE のスコアと,Bristol 日常生活動作尺度(BADLS;0~60 で,スコアが高いほど障害が大きいことを示す)のスコアとした.臨床的に意味のある最小の差は,SMMSE で 1.4 ポイント,BADLS で 3.5 ポイントとした.

結 果

ドネペジルを継続した患者では,ドネペジルを中止した患者と比較して,SMMSE スコアが平均 1.9 ポイント(95%信頼区間 [CI] 1.3~2.5)高く,BADLS スコアが平均 3.0 ポイント(95% CI 1.8~4.3)低かった(障害が少ないことを示す)(両比較について P<0.001).メマンチンを投与した患者では,メマンチンのプラセボを投与した患者と比較して,SMMSE スコアが平均 1.2 ポイント(95% CI 0.6~1.8)高く(P<0.001),BADLS スコアが平均 1.5 ポイント(95% CI 0.3~2.8)低かった(P=0.02).ドネペジルとメマンチンの有効性には,もう一方の薬剤の併用・非併用を問わず,有意差は認められなかった.ドネペジルとメマンチンの併用に,ドネペジル単独を上回る有意な利益は認められなかった.

結 論

中等度~高度のアルツハイマー病患者において,ドネペジルによる継続的治療は,12 ヵ月間にわたって,臨床的に意味のある最小の差を上回る認知機能への利益と,有意な機能への利益に関連した.(英国医学研究評議会,英国アルツハイマー病協会から研究助成を受けた.Current Controlled Trials 番号:ISRCTN49545035)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2012; 366 : 893 - 903. )