September 27, 2012 Vol. 367 No. 13
化学療法歴のある前立腺癌患者におけるエンザルタミドによる生存期間延長
Increased Survival with Enzalutamide in Prostate Cancer after Chemotherapy
H.I. Scher and Others
エンザルタミド(enzalutamide)(旧称 MDV3100)は,前立腺癌の増殖を促進する主要因子であるアンドロゲン受容体シグナル伝達経路の,複数の段階を標的とする.われわれは,化学療法歴のある去勢抵抗性前立腺癌男性の生存期間が,エンザルタミドによって延長するかどうかを検討した.
第 3 相二重盲検プラセボ対照試験において,化学療法歴のある去勢抵抗性前立腺癌男性 1,199 例を,米国東部癌共同研究グループ(ECOG)の全身状態スコアと疼痛強度に基づき層別化した.患者を,エンザルタミド 160 mg/日を経口投与する群(800 例)とプラセボを投与する群(399 例)に,2:1 の割合で無作為に割り付けた.主要エンドポイントは全生存期間とした.
520 例が死亡した時点で予定されていた中間解析後,試験は中止された.全生存期間中央値は,エンザルタミド群では 18.4 ヵ月(95%信頼区間 [CI] 17.3 ~未到達)であったのに対し,プラセボ群では 13.6 ヵ月(95% CI 11.3~15.8)であった(エンザルタミド群における死亡のハザード比 0.63,95% CI 0.53~0.75,P<0.001).すべての副次的エンドポイントについて,エンザルタミドのプラセボに対する優位性が示された:前立腺特異抗原(PSA)値が 50%以上低下した患者の割合(54% 対 2%,P<0.001),軟部組織奏効率(29% 対 4%,P<0.001),QOL 改善率(43% 対 18%,P<0.001),PSA 増悪までの期間(8.3 ヵ月 対 3.0 ヵ月,ハザード比 0.25,P<0.001),放射線学的無増悪生存期間(8.3 ヵ月 対 2.9 ヵ月,ハザード比 0.40,P<0.001),骨格関連イベントの初回発生までの期間(16.7 ヵ月 対 13.3 ヵ月,ハザード比 0.69,P<0.001).倦怠感,下痢,顔面潮紅の発生率は,エンザルタミド群のほうが高かった.エンザルタミド群の 5 例(0.6%)でてんかん発作が報告された.
エンザルタミドによって,化学療法歴のある転移性去勢抵抗性前立腺癌男性の生存期間が有意に延長した.(Medivation 社,Astellas Pharma Global Development 社から研究助成を受けた.AFFIRM ClinicalTrials.gov 番号:NCT00974311)