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January 10, 2013 Vol. 368 No. 2

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アルツハイマー病における TREM2 変異
TREM2 Variants in Alzheimer's Disease

R. Guerreiro and Others

背景

骨髄細胞に発現するトリガー受容体 2 蛋白をコードする TREM2 のホモ接合機能喪失型変異が,常染色体劣性型の早発性認知症に関連することがすでに示されている.

方 法

アルツハイマー病患者 1,092 例と対照 1,107 例の集団(発見セット)を対象に,ゲノム配列決定,エクソーム配列決定,サンガー法による配列決定を用いて,TREM2 の遺伝的変異性を解析した.続いて,アルツハイマー病に関する 3 つのゲノムワイド関連解析から得られた TREM2 変異 rs75932628(R47H 置換を引き起こすと予測される)について外挿したデータのメタ解析を行い,変異と疾患との関連を検討した.別の症例 1,887 例と対照 4,061 例において,R47H 変異の遺伝子型を決定した.そして,ヒト脳のさまざまな領域で TREM2 の発現を測定し,アルツハイマー病モデルマウスと対照マウスとで発現の異なる遺伝子を同定した.

結 果

発見セットのアルツハイマー病患者では,対照と比較して,TREM2 のエクソン 2 における変異が有意に多かった(P=0.02).変異アレルは,アルツハイマー病患者 1,092 例では 22 個,対照 1,107 例では 5 個認められた(P<0.001).関連する変異でもっとも高頻度に認められた rs75932628(R47H をコードする)には,アルツハイマー病とのきわめて有意な関連が認められた(P<0.001).この関連は,ゲノムワイド関連解析から外挿された rs75932628 遺伝子型のメタ解析によって確認され(P=0.002),別のアルツハイマー病患者 1,887 例と対照 4,061 例に行った直接的な遺伝子型決定によっても確認された(P<0.001).Trem2 の発現には対照マウスとアルツハイマー病モデルマウスとのあいだで差が認められた.

結 論

TREM2 のヘテロ接合性のまれな変異が,アルツハイマー病リスクの有意な上昇に関連している.(英国アルツハイマー病研究ほかから研究助成を受けた.)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2013; 368 : 117 - 27. )