進行期悪性黒色腫におけるペムブロリズマブとイピリムマブの比較
Pembrolizumab versus Ipilimumab in Advanced Melanoma
C. Robert and Others
免疫チェックポイント阻害薬イピリムマブ(ipilimumab)は,進行期悪性黒色腫患者の標準治療薬である.ペムブロリズマブ(pembrolizumab)は,プログラム細胞死 1(PD-1)免疫チェックポイントを阻害する薬剤で,進行期悪性黒色腫患者において抗腫瘍活性を示す.
第 3 相無作為化比較試験において,進行期悪性黒色腫の患者 834 例を,ペムブロリズマブ(10 mg/kg 体重)を 2 週ごとに投与する群,3 週ごとに投与する群,イピリムマブ(3 mg/kg)を 3 週ごとに計 4 回投与する群に 1:1:1 の割合で割り付けた.主要評価項目は,無増悪生存率と全生存率とした.
6 ヵ月の時点での推定無増悪生存率は,ペムブロリズマブの 2 週ごと投与群 47.3%,ペムブロリズマブの 3 週ごと投与群 46.4%,イピリムマブ投与群 26.5%であった(両ペムブロリズマブレジメンのイピリムマブ投与に対する病勢進行のハザード比 0.58,P<0.001,95%信頼区間 [CI] はそれぞれ 0.46~0.72 と 0.47~0.72).12 ヵ月の時点での推定生存率はそれぞれ 74.1%,68.4%,58.2%であった(ペムブロリズマブの 2 週ごと投与の死亡のハザード比 0.63,95% CI 0.47~0.83,P=0.0005;ペムブロリズマブの 3 週ごと投与の死亡のハザード比 0.69,95% CI 0.52~0.90,P=0.0036).奏効率は,ペムブロリズマブの 2 週ごと投与群(33.7%),3 週ごと投与群(32.9%)において,イピリムマブ投与群(11.9%)と比較して改善した(両比較について P<0.001).追跡期間中央値 7.9 ヵ月の時点で,奏効は,それぞれ患者の 89.4%,96.7%,87.9%で持続していた.有効性は,ペムブロリズマブを投与した 2 群で同程度であった.グレード 3~5 の治療関連有害事象の発現率は,ペムブロリズマブ投与群(13.3%と 10.1%)のほうがイピリムマブ投与群(19.9%)よりも低かった.
進行期悪性黒色腫患者において,抗 PD-1 抗体ペムブロリズマブは,イピリムマブと比較して無増悪生存期間と全生存期間を延長し,グレードの高い毒性は少なかった.(Merck Sharp & Dohme 社から研究助成を受けた.KEYNOTE-006 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01866319)