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January 22, 2015 Vol. 372 No. 4

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再発性または難治性のホジキンリンパ腫におけるニボルマブによる PD-1 阻害
PD-1 Blockade with Nivolumab in Relapsed or Refractory Hodgkin's Lymphoma

S.M. Ansell and Others

背景

前臨床研究では,Reed–Sternberg 細胞はプログラム死 1 (PD-1)経路を利用して免疫監視を回避することが示唆されている.古典型ホジキンリンパ腫においては,染色体 9p24.1 の変化により,PD-1 リガンドである PD-L1 と PD-L2 の量が増加し,ヤヌスキナーゼ(JAK)–シグナル伝達兼転写活性化因子(STAT)シグナル伝達を介してそれらの誘導が促進される.われわれは,PD-1 阻害抗体であるニボルマブによって,再発性または難治性のホジキンリンパ腫患者における腫瘍の免疫回避が抑制されるという仮説を立てた.

方 法

現在進行中の試験において,濃厚な治療歴のある再発性または難治性のホジキンリンパ腫患者 23 例に,ニボルマブ投与(3 mg/kg 体重)を 2 週ごとに,完全奏効,腫瘍の進行,過剰な毒性作用のいずれかが認められるまで行った.試験の目的は,ニボルマブの安全性と有効性を評価することと,PDL1PDL2(それぞれ CD274PDCD1LG2 とも呼ばれる)の座位,および PD-L1,PD-L2 の蛋白発現を評価することであった.

結 果

登録された患者 23 例のうち,78%には自家幹細胞移植後の再発があり,78%にはブレンツキシマブ ベドチン投与後の再発があった.薬剤関連有害事象の発現率は全グレードについては 78%であり,グレード 3 については 22%であった.客観的奏効は 20 例(87%)で報告され,内訳は完全奏効 17%,部分奏効 70%で,残りの 3 例(13%)は病勢安定であった.24 週の時点での無増悪生存率は 86%であり,11 例が試験参加を継続していた.中止の理由は,幹細胞移植(6 例),増悪(4 例),薬剤毒性(2 例)であった.10 例の治療前の腫瘍検体の解析により,PDL1 および PDL2 のコピー数増加と,これらのリガンドの発現増加が認められた.Reed–Sternberg 細胞はリン酸化 STAT3 が核陽性であり,活発な JAK-STAT シグナル伝達が示唆された.

結 論

ニボルマブは,濃厚な治療歴のある再発性または難治性のホジキンリンパ腫患者において,大きな治療効果と忍容可能な安全性プロファイルを示した.(Bristol-Myers Squibb 社ほかから研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01592370)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2015; 372 : 311 - 9. )