The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

March 5, 2015 Vol. 372 No. 10

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

乳癌補助化学療法中の卵巣保護のためのゴセレリン
Goserelin for Ovarian Protection during Breast-Cancer Adjuvant Chemotherapy

H.C.F. Moore and Others

背景

卵巣機能不全は,化学療法の頻度の高い毒性作用の一つである.卵巣機能の保護を目的としてゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)作動薬を用いる研究では,結果は一致しておらず,妊娠転帰に関するデータは不足している.

方 法

手術可能なホルモン受容体陰性乳癌の閉経前女性 257 例を,標準化学療法に GnRH 作動薬であるゴセレリンを併用する群(ゴセレリン群)と,併用しない群(化学療法単独群)に無作為に割り付けた.主要評価項目は,2 年の時点での卵巣機能不全の発生率とし,卵巣機能不全の定義は,評価前の 6 ヵ月間に月経がなく,卵胞刺激ホルモン(FSH)値が閉経後の範囲にあることとした.発生率は,条件付きロジスティック回帰を用いて比較した.副次的評価項目は,妊娠転帰,無病生存率,全生存率などとした.

結 果

ベースラインでは 218 例が適格であり,評価可能であった.主要評価項目の完全なデータが得られた 135 例における卵巣機能不全発生率は,ゴセレリン群 8%,化学療法単独群 22%であった(オッズ比 0.30,95%信頼区間 0.09~0.97,両側 P=0.04).主要評価項目のデータに欠測があったため感度分析を行ったところ,結果は主要解析の結果と一致した.欠測データに,治療群や,層別化因子の「年齢」,「予定されていた化学療法レジメンの内容」による影響は認められなかった.評価可能であった 218 例のうち,妊娠した女性の割合は,ゴセレリン群のほうが化学療法単独群よりも高かった(21% 対 11%,P=0.03).ゴセレリン群では無病生存率の改善(P=0.04)と,全生存率の改善(P=0.05)も認められた.

結 論

欠測データにより結果の説得力は弱まるが,化学療法にゴセレリンを併用することで,卵巣機能不全が予防され,早期閉経のリスクが低下し,妊娠の可能性が向上すると考えられる.(米国国立がん研究所ほかから研究助成を受けた.POEMS/S0230 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT00068601)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2015; 372 : 923 - 32. )