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September 24, 2015 Vol. 373 No. 13

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多発性骨髄腫に対するダラツムマブ単剤療法による CD38 の標的化
Targeting CD38 with Daratumumab Monotherapy in Multiple Myeloma

H.M. Lokhorst and Others

背景

多発性骨髄腫細胞では,CD38 が一様に過剰発現している.再発骨髄腫患者またはそれまでに受けた 2 種類以上の治療に抵抗性を示した再発骨髄腫患者を対象に,CD38 を標的とするヒト IgG1κモノクローナル抗体ダラツムマブ(daratumumab)を検討する第 1・2 相試験を行った.

方 法

第 1 部の用量漸増期には,ダラツムマブを 0.005~24 mg/kg 体重で投与した.第 2 部の用量拡大期には,30 例にダラツムマブ 8 mg/kg,42 例に 16 mg/kg を,週 1 回(8 回),月 2 回(8 回),月 1 回と,24 ヵ月まで投与した.評価項目は,安全性,有効性,薬物動態などとした.

結 果

第 1 部で最大耐用量は同定されなかった.第 2 部では,診断からの期間の中央値は 5.7 年であった.前治療数の中央値は 4 であった.患者の 79%が直近に受けた治療に抵抗性を示し(64%がプロテアソーム阻害薬と免疫調節薬に抵抗性,64%がボルテゾミブとレナリドミドに抵抗性),76%が自家幹細胞移植を受けていた.第 2 部で認められた投与時反応は軽度であり(グレード 1 または 2 は 71%,グレード 3 は 1%),用量依存性の有害事象は認められなかった.グレード 3 または 4 の有害事象で高頻度(患者の 5%以上)に認められたのは,肺炎と血小板減少であった.全奏効率は,16 mg/kg 投与コホートでは 36%(部分奏効以上が 15 例で,うち 2 例が完全奏効,2 例がきわめて良好な部分奏効),8 mg/kg 投与コホートでは 10%(部分奏効 3 例)であった.16 mg/kg 投与コホートにおいて,無増悪生存期間中央値は 5.6 ヵ月(95%信頼区間 [CI] 4.2~8.1)であり,奏効が得られた患者の 65%(95% CI 28~86)では,12 ヵ月の時点で病勢進行が認められなかった.

結 論

多種類の前治療歴を有する難治性骨髄腫患者において,ダラツムマブ単剤療法は良好な安全性プロファイルを有し,期待できる有効性を示した.(Janssen Research and Development 社,Genmab 社から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT00574288)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2015; 373 : 1207 - 19. )