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October 8, 2015 Vol. 373 No. 15

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再発型多発性硬化症に対するダクリズマブ HYP とインターフェロンβ-1a の比較
Daclizumab HYP versus Interferon Beta-1a in Relapsing Multiple Sclerosis

L. Kappos and Others

背景

高収率合成(HYP)ダクリズマブ(daclizumab)は,CD25(インターロイキン 2 受容体のαサブユニット)に結合してインターロイキン 2 シグナル伝達を調節するヒト化モノクローナル抗体である.インターロイキン 2 シグナル伝達の異常は,多発性硬化症や,その他自己免疫疾患の病因との関連が示唆されている.

方 法

第 3 相無作為化二重盲検実薬対照試験で,再発寛解型多発性硬化症患者 1,841 例を対象に,最長 144 週間にわたるダクリズマブ HYP(150 mg を 4 週間に 1 回)の皮下投与と,インターフェロンβ-1a(30μg を週 1 回)の筋肉内投与とを比較した.主要評価項目は年間再発率とした.

結 果

年間再発率は,ダクリズマブ HYP 群のほうがインターフェロンβ-1a 群よりも低かった(0.22 対 0.39,ダクリズマブ HYP 群のほうが 45%低い,P<0.001).96 週間に MRI T2 強調画像で高信号を呈した新規病変・拡大病変の数は,ダクリズマブ HYP 群のほうがインターフェロンβ-1a 群よりも少なかった(4.3 対 9.4,ダクリズマブ HYP 群のほうが 54%少ない,P<0.001).144 週の時点で,12 週ごとに確認される障害進行の推定発生率は,ダクリズマブ HYP 群で 16%,インターフェロンβ-1a 群で 20%であった(P=0.16).多発性硬化症の再発を除く重篤な有害事象は,ダクリズマブ HYP 群の 15%,インターフェロンβ-1a 群の 10%で報告された.感染症の頻度は,ダクリズマブ HYP 群のほうがインターフェロンβ-1a 群よりも高く(65% 対 57%,うち重篤な感染症は 4% 対 2%),また,発疹・湿疹などの皮膚有害事象(37% 対 19%,うち重篤な事象は 2% 対 <1%),肝アミノトランスフェラーゼの基準値上限の 5 倍を超える上昇(6% 対 3%)についても同様であった.

結 論

再発寛解型多発性硬化症患者において,ダクリズマブ HYP は,年間再発率と MRI で確認される病変についてインターフェロンβ-1a よりも高い有効性を示したが,12 週ごとに確認される障害進行について有意なリスク低下はみられなかった.感染症,発疹,肝機能検査値異常の発生率は,ダクリズマブ HYP 群のほうがインターフェロンβ-1a 群よりも高かった.(Biogen 社と AbbVie Biotherapeutics 社から研究助成を受けた.DECIDE 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01064401)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2015; 373 : 1418 - 28. )