The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

October 29, 2015 Vol. 373 No. 18

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

2 型糖尿病患者における超過死亡
Excess Mortality among Persons with Type 2 Diabetes

M. Tancredi and Others

背景

血糖コントロールと腎合併症の状態が異なる 2 型糖尿病患者における,全死因死亡,心血管系の原因による死亡の超過リスクは明らかにされていない.われわれは 2 型糖尿病患者において,血糖コントロールと腎合併症とによるリスクを評価することを目的として,登録に基づく調査を行った.

方 法

スウェーデン全国糖尿病登録に 1998 年 1 月 1 日以降に登録された 2 型糖尿病患者を対象とした.患者 1 例につき対照 5 例を一般集団から無作為に選択し,年齢,性別,県をマッチさせた.対象全例を,スウェーデン死因別死亡登録を用いて 2011 年 12 月 31 日まで追跡した.

結 果

平均追跡期間は糖尿病患者群 4.6 年,対照群 4.8 年であった.全体で,糖尿病患者 435,369 例中 77,117 例(17.7%)が死亡したのに対し,対照 2,117,483 例中 306,097 例(14.5%)が死亡した(補正ハザード比 1.15,95%信頼区間 [CI] 1.14~1.16).心血管系死亡率は,糖尿病患者群 7.9%に対し,対照群 6.1%であった(補正ハザード比 1.14,95% CI 1.13~1.15).全死因死亡および心血管系死亡の超過リスクは,年齢がより低いこと,血糖コントロールがより不良であること,腎合併症がより重症であることに伴い増加した.対照群と比較して,糖化ヘモグロビン値 6.9%以下(非糖化ヘモグロビン 52 mmol/mole 以下)の糖尿病患者の全死因死亡のハザード比は,55 歳未満の患者群で 1.92(95% CI 1.75~2.11),75 歳以上の患者群で 0.95(95% CI 0.94~0.96)であった.正常アルブミン尿の患者において,対照群に対する死亡のハザード比は,糖化ヘモグロビン値 6.9%以下の 55 歳未満の患者群で 1.60(95% CI 1.40~1.82)であったが,75 歳以上の患者群では 0.76(95% CI 0.75~0.78)であり,65~74 歳の患者群でも死亡リスクは有意に低かった(ハザード比 0.87,95% CI 0.84~0.91).

結 論

2 型糖尿病患者における死亡率は,一般集団と比較して,大規模な患者群としては相当な超過リスクがあるが,年齢,血糖コントロール,腎合併症別にみると死亡リスクは低くなり,多様であった.(スウェーデン政府ほかから研究助成を受けた.)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2015; 373 : 1720 - 32. )