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March 24, 2016 Vol. 374 No. 12

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ANGPTL4LPLSVEP1 のコード領域の多様性と冠動脈疾患のリスク
Coding Variation in ANGPTL4, LPL, and SVEP1 and the Risk of Coronary Disease

Myocardial Infarction Genetics and CARDIoGRAM Exome Consortia Investigators

背景

冠動脈疾患のリスクに影響を及ぼす低頻度コード領域多様体が発見され,治療標的の同定が進んでいる.

方 法

冠動脈疾患を有する患者 72,868 例と有しない対照 120,770 例で,DNA 遺伝子型決定により 13,715 のヒト遺伝子を含む 54,003 のコード配列多様体を検証した.また,DNA 配列決定によって,特定された遺伝子における機能喪失型変異の影響を検討した.

結 果

LPAPCSK9 において,冠動脈疾患と低頻度ミスセンス多様体とのあいだに,すでに観察されている有意な関連を確認した.また,SVEP1 (p.D2702G,マイナーアレル頻度 3.60%,疾患のオッズ比 1.14,P=4.2×10-10)と,アンジオポエチン様 4(ANGPTL4)をコードする ANGPTL4 (p.E40K,マイナーアレル頻度 2.01%,オッズ比 0.86,P=4.0×10-8)においても,冠動脈疾患と低頻度ミスセンス多様体とのあいだに有意な関連を認めた.ANGPTL4 の配列決定により,心筋梗塞患者 6,924 例で機能喪失型変異の保有者は 9 例同定されたのに対し,対照 6,834 例では 19 例同定された(オッズ比 0.47,P=0.04).ANGPTL4 の機能喪失型アレルの保有者は,非保有者と比較してトリグリセリド値が 35%低かった(P=0.003).ANGPTL4 はリポ蛋白リパーゼ(LPL)を阻害することから,LPL の変異を探索し,冠動脈疾患のリスク上昇に関連する機能喪失型多様体(p.D36N,マイナーアレル頻度 1.9%,オッズ比 1.13,P=2.0×10-4)と,冠動脈疾患からの防御に関連する機能獲得型多様体(p.S447,マイナーアレル頻度 9.9%,オッズ比 0.94,P=2.5×10-7)を同定した.

結 論

ANGPTL4 の機能喪失型変異の保有者は,非保有者と比較してトリグリセリド値が低く,これらの変異は冠動脈疾患からの防御にも関連していることが示された.(米国国立衛生研究所ほかから研究助成を受けた.)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2016; 374 : 1134 - 44. )