March 24, 2016 Vol. 374 No. 12
アジアおよびラテンアメリカの 10 ヵ国の小児における症候性デングウイルス感染
Symptomatic Dengue in Children in 10 Asian and Latin American Countries
M. L’Azou and Others
デングワクチンの有効性を検討した 2 件の第 3 相試験の対照群は,デングウイルス感染が追跡された 2 つの大規模地域コホートとなった.これらのコホートから,デング熱が流行している東南アジアおよびラテンアメリカの 10 ヵ国の小児における症候性感染を疫学的に解析するサンプルが得られた.
2011 年 6 月~2013 年 12 月に追跡されたアジア(インドネシア,マレーシア,フィリピン,タイ,ベトナム)の 2~16 歳の健常児 3,424 例と,2011 年 6 月~2014 年 4 月に追跡されたラテンアメリカ(ブラジル,コロンビア,ホンジュラス,メキシコ,プエルトリコ)の 9~18 歳の 6,939 例を対象に,急性発熱性疾患と,ウイルス学的に確認されたデングウイルス感染(VCD)のモニタリングを行った.急性発熱エピソードは,非構造蛋白 1 抗原免疫測定法と,逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応法により VCD であることを確定した.デング出血熱の定義は世界保健機関(WHO)の基準(1997)に準じた.
各コホートの発熱エピソードの約 10%が VCD であると確認され,VCD エピソードの発生数はアジアコホートが 319 件(100 人年あたり 4.6 件),ラテンアメリカコホートが 389 件(100 人年あたり 2.9 件)であった.年齢群別の傾向は認められなかった.デング出血熱の発生は,各コホートで 100 人年あたり 0.3 件未満であった.入院を要した VCD エピソードの割合は,アジアコホートで 19.1%,ラテンアメリカコホートで 11.1%であった.デングウイルス感染の負担を,比較に適した 2 つの年齢群(9~12 歳,13~16 歳)で比較すると,アジアのほうがラテンアメリカよりも大きかった.
デングウイルス感染の負担は,2 つの地域,およびすべての年齢群において大きかった.負担は国によって大きく異なったが,発生率はアジア諸国のほうがラテンアメリカ諸国よりも全般的に高く,重症度の高い例が多かった.(Sanofi Pasteur 社から研究助成を受けた.CYD14 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01373281,CYD15 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01374516)