January 14, 2016 Vol. 374 No. 2
結核性髄膜炎の成人における強化抗結核療法
Intensified Antituberculosis Therapy in Adults with Tuberculous Meningitis
A.D. Heemskerk and Others
結核性髄膜炎は致死的となることが多い.早期の抗結核療法とグルココルチコイドを用いた補助療法により患者の生存が延長するが,それでも 1/3 近くは死亡する.われわれは,強化抗結核療法により脳内の結核菌に対する殺菌力が高まり,死亡率が低下するという仮説を立てた.
ベトナムの 2 病院のいずれかに入院し,結核性髄膜炎と臨床的に診断された,ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染成人および非感染成人を対象に,無作為化二重盲検プラセボ対照試験を行った.標準療法である 9 ヵ月間の抗結核レジメン(リファンピン [rifampin] 10 mg/kg 体重/日を含む)と,治療の最初の 8 週間に高用量リファンピン(15 mg/kg/日)とレボフロキサシン(20 mg/kg/日)を併用する強化レジメンとを比較した.主要転帰は無作為化後 9 ヵ月までの死亡とした.
817 例(うち HIV 感染者 349 例)が登録された.409 例を標準療法を受ける群に,408 例を強化療法を受ける群に無作為に割り付けた.9 ヵ月の追跡期間中に,強化療法群の 113 例と,標準療法群の 114 例が死亡した(ハザード比 0.94,95%信頼区間 0.73~1.22,P=0.66).強化療法には,全体においてもサブグループにおいても,有意差をもたらす効果は認められなかったが,イソニアジド耐性結核菌に感染した患者は例外となる可能性はある.副次的転帰にも群間で有意差は認められなかった.治療中断にいたった有害事象の総数に群間で有意差は認められなかった(標準療法群 64 件,強化療法群 95 件,P=0.08).
結核性髄膜炎患者に強化抗結核療法を行っても,標準療法を行った場合と比較して生存率が高くなることはなかった.(ウェルカム・トラスト,李嘉誠基金会から研究助成を受けた.Current Controlled Trials 登録番号 ISRCTN61649292)