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April 7, 2016 Vol. 374 No. 14

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低悪性度神経膠腫に対する放射線療法とプロカルバジン+CCNU+ビンクリスチンの併用
Radiation plus Procarbazine, CCNU, and Vincristine in Low-Grade Glioma

J.C. Buckner and Others

背景

グレード 2 の神経膠腫は若年成人に発生することがもっとも多く,神経症状が進行性に悪化し,早期に死亡する.この試験の初期成績では,初期診断の時点で,放射線療法後に,プロカルバジン,ロムスチン(lomustine)(別名 CCNU),ビンクリスチン投与を追加することで,放射線療法を単独で行った場合と比較して無増悪生存期間が延長したが,全生存期間は延長しなかった.今回は長期成績を報告する.

方 法

グレード 2 の星細胞腫,乏突起星細胞腫,乏突起神経膠腫のいずれかを有し,亜全摘術または生検術を受けた 40 歳未満の患者と,生検術または摘出の程度を問わず摘出術を受けた 40 歳以上の患者を対象とした.患者は,年齢,組織学的所見,カルノフスキーパフォーマンスステータススコア,術前画像での造影の有無で層別化した.患者を,放射線療法を単独で行う群と,放射線療法後に 6 サイクルの併用化学療法を行う群に無作為に割り付けた.

結 果

1998~2002 年に適格患者 251 例を登録した.追跡期間中央値は 11.9 年で,55%が死亡した.全生存期間中央値は,放射線療法+化学療法群のほうが,放射線療法単独群よりも長かった(13.3 年 対 7.8 年,死亡のハザード比 0.59,P=0.003).10 年無増悪生存率は,放射線療法+化学療法群では 51%であったのに対し,放射線療法単独群では 21%であった.10 年全生存率はそれぞれ 60%,40%であった.Cox モデルにより,放射線療法+化学療法を受けたことと,乏突起神経膠腫の組織学的所見のあることが,無増悪生存と全生存の両方の予後良好因子として同定された.

結 論

グレード 2 の神経膠腫を有し,摘出術または生検術を受けた 40 歳未満の患者と 40 歳以上の患者のコホートにおいて,放射線療法に化学療法を追加した群では,放射線療法を単独で行った群よりも無増悪生存期間と全生存期間が長かった.(米国国立がん研究所ほかから研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT00003375)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2016; 374 : 1344 - 55. )