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January 14, 2016 Vol. 374 No. 2

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乳頭状腎細胞癌の包括的な分子的特徴付け
Comprehensive Molecular Characterization of Papillary Renal-Cell Carcinoma

The Cancer Genome Atlas Research Network

背景

乳頭状腎細胞癌は腎細胞癌の 15~20%を占めるが,異質性の高い疾患であり,悪性度が低く多発性の腫瘍から,悪性度が高く致死性の高い孤立性腫瘍まで,多様な腎癌から成る.散発性乳頭状腎細胞癌の遺伝的基盤についてはほとんどわかっておらず,進行癌に対する有効な治療法はない.

方 法

全エクソーム解析,コピー数解析,メッセンジャー RNA とマイクロ RNA の配列決定,DNA メチル化解析,プロテオミクス解析を用いて,原発性乳頭状腎細胞癌 161 例の包括的な分子的特徴付けを行った.

結 果

1 型乳頭状腎細胞癌,2 型乳頭状腎細胞癌は,特異的な遺伝子変化を特徴とする異なるタイプの腎癌であり,2 型は,患者の生存に関連する分子的差異に基づいてさらに 3 つのサブグループに分類できることが示された.1 型は MET の変化と関連し,2 型は CDKN2A のサイレンシング,SETD2 の変異,TFE3 の融合,NRF2–抗酸化剤応答配列(ARE)経路の発現増加と関連した.2 型乳頭状腎細胞癌はさらに,生存率の低さとフマル酸ヒドラターゼをコードする遺伝子(FH)の変異を特徴とするサブグループで,CpG アイランドメチル化形質(CIMP)が観察された.

結 論

1 型乳頭状腎細胞癌と 2 型乳頭状腎細胞癌は,臨床的・生物学的に異なることが示された.MET 経路の変化は 1 型と関連し,NRF2-ARE 経路の活性化は 2 型と関連した.2 型腫瘍における CDKN2A 欠損と CIMP は,予後不良を示唆していた.さらに,2 型乳頭状腎細胞癌は,分子的特徴と表現型の特徴に基づく少なくとも 3 つのサブタイプに分類された.(米国国立衛生研究所から研究助成を受けた.)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2016; 374 : 135 - 45. )