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May 5, 2016 Vol. 374 No. 18

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バングラデシュにおける経口不活化コレラワクチンの単回接種の有効性
Efficacy of a Single-Dose, Inactivated Oral Cholera Vaccine in Bangladesh

F. Qadri and Others

背景

世界保健機関(WHO)に事前承認された最新の経口死菌コレラワクチンは,単回接種が可能であれば,地域内で流行が拡大しているコレラに対してより使いやすくなる可能性がある.現在 2 回接種が推奨されている経口死菌コレラワクチンであるシャンコール(Shanchol)の単回接種の有効性試験を,コレラが高度に流行している都市部で行った.

方 法

バングラデシュのダッカで,妊娠女性を除く 1 歳以上の住民を,経口コレラワクチンを単回接種する群とプラセボを投与する群に無作為に割り付けた.主要評価項目は,接種後 7~180 日で発症し,培養で確認されたコレラに対するワクチンの防御効果とした.事前に規定した副次的評価項目は,同期間に発症し,培養で確認された重度の脱水を伴うコレラに対するワクチンの防御効果,接種後 7~90 日で発症したコレラ・重症コレラと 91~180 日で発症したコレラ・重症コレラに対するワクチンの防御効果,ベースラインの年齢群別のコレラ・重症コレラに対するワクチンの防御効果などとした.

結 果

単回のワクチン接種またはプラセボ投与を受けた 204,700 人において,重度の脱水を伴うコレラ 37 例を含む,計 101 例のコレラが確認された.ワクチン有効率は,すべてのコレラに対して 40%(95%信頼区間 [CI] 11~60%,ワクチン接種群 1,000 人あたり 0.37 例 対 プラセボ投与群 1,000 人あたり 0.62 例),重度の脱水を伴うコレラに対して 63%(95% CI 24~82%,1,000 人あたり 0.10 例 対 0.26 例)であった.また,ワクチン接種群におけるすべてのコレラに対するワクチン有効率は,接種年齢が 5~14 歳で 63%(95% CI -39~90%),15 歳以上で 56%(95% CI 16~77%),1~4 歳で 16%(95% CI -49~53%)であったが,年齢による差は有意ではなかった(P=0.25).有害事象の頻度は両群で同程度であった.

結 論

経口コレラワクチンの単回接種は,高度流行地域における年長の小児(5 歳以上)と成人に有効であった.(ビル&メリンダ・ゲイツ財団ほかから研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02027207)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2016; 374 : 1723 - 32. )