メディケアにおける説明責任を果たせる医療機関の初期成績
Early Performance of Accountable Care Organizations in Medicare
J.M. McWilliams and Others
メディケア医療費節減共有プログラム(MSSP)では,支出を抑制し,ケアの質を改善させるために,説明責任を果たせる医療機関(ACO)に対する金銭的インセンティブが設けられている.われわれは,準実験的手法を用いて MSSP 参加 ACO の初期成績を評価した.
2009~13 年のメディケア請求データと difference-in-differences 分析を用いて,2012 年半ばに MSSP に参加した ACO(2012 年 ACO コホート)または 2013 年 1 月に MSSP に参加した ACO(2013 年 ACO コホート)の,計 220 の ACO で治療を受けた受給者と,非 ACO 医療機関で治療を受けた受給者(対照群)を対象に,ACO 契約開始前と開始後の,支出の変化と質の評価指標に基づく成績の変化を,地域と受給者の患者背景で補正し,比較した.参加時期には ACO の支出節減能が反映される可能性があるため,2012 年 ACO コホートと 2013 年 ACO コホートを分けて解析した.医療機関の組織構造,ベースラインの支出,民間保険業者との同時 ACO 契約状況別に,ACO の支出抑制を比較した.
ACO 契約開始前には,補正後のメディケアの支出と支出傾向は,両 ACO コホートと対照群とで類似していた.2013 年には,補正後の年間支出総額の差分変化(すなわち,契約開始前からの変化における群間差)は,2012 年 ACO コホートと対照群との比較では受給者 1 人あたり -144 ドルであり(P=0.02),1.4%の節減に相当するが,2013 年 ACO コホートと対照群との比較では受給者 1 人あたりわずか -3 ドルであった(P=0.96).2012 年,2013 年に MSSP に参加した ACO では,プライマリケア開業医群のほうが病院組織に統合されている施設群よりも推定節減額が一貫して大きかった(相互作用について P=0.005).MSSP 契約により,改善した質の評価項目もあれば,変化のなかった項目もあった.
2012 年に参加した医療機関では,MSSP 契約の 1 年目の満了とメディケア支出の早期減少との関連が示されたが,2013 年に参加した医療機関ではそのような関連は認められなかった.支出節減額は,プライマリケア開業医群のほうが病院組織に統合されている施設群よりも大きかった.