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March 3, 2016 Vol. 374 No. 9

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米国における望まない妊娠の減少,2008~11 年
Declines in Unintended Pregnancy in the United States, 2008–2011

L.B. Finer and M.R. Zolna

背景

米国における望まない妊娠の発生率は,2001 年から 2008 年にかけてわずかに上昇し,他の多くの先進国よりも高いことが示されている.2008 年以降の動向は報告されていない.

方 法

女性の妊娠の希望と妊娠の転帰のデータをもとに,2008 年と 2011 年における望まない妊娠の割合を算出した.妊娠の希望に関するデータは全米家族調査と妊娠中絶が発生した患者の全米調査から,出産に関するデータは米国国立保健統計センターから,人工妊娠中絶に関するデータは中絶を行う医療機関の全米調査から入手した.流産の件数は全米家族調査のデータを用いて推定した.

結 果

望まない妊娠の割合は,2008 年には 51%であったのに対し,2011 年には半分未満(45%)であった.15~44 歳の女性における望まない妊娠の割合は 18%低下し,2008 年の 54/1,000 件から,2011 年には 45/1,000 件へと低下した.連邦貧困水準を下回る女性,同棲中の女性における望まない妊娠の割合は,全米平均の 2~3 倍であった.サブグループ全体で,望まない妊娠の割合における差は持続していたが,2008 年から 2011 年の期間に縮小し,望まない妊娠の割合は,15~17 歳の少女,同棲中の女性,収入が連邦貧困水準の 100~199%の女性,高校を卒業していない女性,ヒスパニック系の女性では 25%以上低下した.中絶にいたった望まない妊娠の割合は,調査対象期間にはほとんど変化はみられなかった(2008 年は 40%,2011 年は 42%).15~44 歳の女性において,出産にいたった望まない妊娠の割合は,2008 年の 27/1,000 件から,2011 年には 22/1,000 件へと低下した.

結 論

米国における望まない妊娠の割合は,わずかな変化がみられた前回の調査後,2008 年から 2011 年の期間に大幅に低下したが,望まない妊娠は,貧困の女性と同棲中の女性で依然として多かった.(スーザン・トンプソン・バフェット財団,米国国立衛生研究所から研究助成を受けた.)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2016; 374 : 843 - 52. )