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October 6, 2016 Vol. 375 No. 14

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ヒトの機械的感覚における PIEZO2 の役割
The Role of PIEZO2 in Human Mechanosensation

A.T. Chesler and Others

背景

触覚および固有感覚は,さまざまな知覚を呼び起こし,機械的な力を検出し,変換する能力に依存している.これらの感覚機能の基盤である分子機構,神経機構は十分に明らかにされていない.ストレッチ依存性イオンチャネルである PIEZO2 は,機械的感覚に不可欠であることがモデル生物において示されている.

方 法

進行性側弯症といった,標準的な診断分類に一致しない特有の神経筋症状・骨格症状を呈する 2 例の患者を対象に,全エクソーム解析を行った.in vitro アッセイ,メッセンジャー RNA アッセイ,脳機能画像検査,心理物理検査・運動試験を用いて,遺伝的多様体が蛋白機能と体性感覚に及ぼす影響を検討した.

結 果

2 例はそれぞれ,PIEZO2 に複合不活性化変異を有しており,それぞれ識別触覚認知が選択的に失われていたが,有毛皮膚に対する特定の軽い機械的刺激に反応を示した.2 例の固有感覚は大きく低下しており,視覚刺激がない状況で著しく悪化する,運動失調と測定障害が認められた.しかし 2 例は,固有感覚に大きく依存していると考えられている歩行,会話,書字といった,さまざまな作業を行う能力を有していた.

結 論

今回の研究の結果から,PIEZO2 は,ヒトにおける機械的感覚の決定因子であるということが示される.(米国国立衛生研究所の所内研究プログラムから研究助成を受けた.)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2016; 375 : 1355 - 64. )