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October 13, 2016 Vol. 375 No. 15

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前立腺癌に対する監視療法,手術,放射線療法後の患者報告アウトカムの比較
Patient-Reported Outcomes after Monitoring, Surgery, or Radiotherapy for Prostate Cancer

J.L. Donovan and Others

背景

臨床的限局性前立腺癌に対する治療を比較する患者報告アウトカム(PRO)の指標に関する確固としたデータは不足している.われわれは,積極的監視療法,根治的前立腺全摘除術,ホルモン療法併用根治的放射線療法が,PRO に及ぼす影響を検討した.

方 法

癌と治療に関する前立腺検査(ProtecT)試験に参加し,診断前,無作為化後 6 ヵ月と 12 ヵ月の時点,その後 1 年ごとに質問票に回答した男性 1,643 例の PRO を比較した.患者は,排尿機能・排便機能・性機能およびそれぞれの状態に特異的な QOL,不安・抑うつ,全体的健康度を評価する,妥当性の確認されている指標に回答した.癌関連 QOL は 5 年の時点で評価した.intention-to-treat の原則に基づき 6 年間の完全なデータを解析した.

結 果

追跡期間中,ほとんどの指標について回答率は 85%を超えた.3 つの治療法のうち,前立腺全摘除術は性機能と尿禁制に対する負の影響がもっとも大きく,若干の回復が認められたものの,試験期間中は他の 2 群よりも不良であった.放射線療法は,性機能に及ぼす負の影響が 6 ヵ月の時点でもっとも大きかったが,その後多少回復し,以降は変動しなかった.尿禁制にはほとんど影響を及ぼさなかった.積極的監視療法群では,性機能と排尿機能が徐々に低下した.排便機能は,放射線療法群が 6 ヵ月の時点で他の 2 群よりも不良であったが,その後,血便の頻度が上昇した以外は多少回復した.他の 2 群では変化はみられなかった.排尿と夜間頻尿は,放射線療法群が 6 ヵ月の時点で不良であったが,その後ほとんど回復し,12 ヵ月以降は他の 2 群と同程度であった.QOL への影響は,報告された機能の変化を反映していた.不安,抑うつ,全体的健康に関連する QOL,癌関連 QOL の各指標に群間で有意差は認められなかった.

結 論

限局性前立腺癌治療後の PRO に関する今回の解析では,排尿機能,排便機能,性機能とそれらに関連する QOL における重症度・回復・低下のパターンは,3 つの治療群で異なっていた.(英国国立健康研究所医療技術評価プログラムから研究助成を受けた.ProtecT 試験:Current Controlled Trials 登録番号 ISRCTN20141297,ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02044172)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2016; 375 : 1425 - 37. )