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July 14, 2016 Vol. 375 No. 2

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同種移植後に再発した患者に対するイピリムマブ
Ipilimumab for Patients with Relapse after Allogeneic Transplantation

M.S. Davids and Others

背景

造血器腫瘍は,同種造血幹細胞移植(HSCT)後にドナー由来の抗腫瘍免疫活性が消失すると,再発する可能性がある.われわれは,イピリムマブで細胞傷害性 T リンパ球関連抗原 4 を標的とすることで免疫チェックポイントを阻害すれば,移植片対腫瘍効果を介する抗腫瘍反応性を回復させることができるという仮説を立てた.

方 法

同種 HSCT 後に造血器腫瘍が再発した患者におけるイピリムマブの安全性と有効性を明らかにする目的で,第 1・1b 相多施設共同研究者主導試験を行った.導入療法としてイピリムマブ 3 mg/kg 体重または 10 mg/kg 体重を 3 週ごとに 4 回投与したのち,臨床的利益が認められた患者には,追加投与を 12 週ごとに,最長 60 週まで行った.

結 果

28 例が登録された.6 例(21%)で免疫関連有害事象が発現し,うち 1 例はその後死亡した.4 例(14%)が移植片対宿主病(GVHD)を発症し,それ以上の投与は不可能であった.3 mg/kg を投与した例では,正式な効果基準を満たす効果は認められなかった.10 mg/kg を投与した 22 例では,5 例(23%)が完全奏効,2 例(9%)が部分奏効を示し,6 例(27%)で腫瘍量が減少した.完全奏効例の内訳は,髄外再発した急性骨髄性白血病の 4 例と,急性骨髄性白血病に進展する骨髄異形成症候群の 1 例であった.4 例では効果が 1 年以上持続した.効果は,細胞傷害性 CD8+ T 細胞の上皮内浸潤,制御性 T 細胞の活性化の低下,血液中のエフェクター T 細胞亜集団の増加と関連した.

結 論

今回の初期臨床試験のデータから,同種 HSCT 後再発造血器腫瘍患者に対するイピリムマブ投与には,免疫関連の毒性と GVHD の発現が認められたものの,実行可能性があることが示された.効果の持続は,髄外再発した急性骨髄性白血病など,造血器腫瘍のいくつかの組織学的サブタイプに関連することが認められた.(米国国立衛生研究所ほかから研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01822509)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2016; 375 : 143 - 53. )