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October 20, 2016 Vol. 375 No. 16

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コロンビアにおけるジカウイルス感染に関連するギラン–バレー症候群
Guillain–Barré Syndrome Associated with Zika Virus Infection in Colombia

B. Parra and Others

背景

ジカウイルス(ZIKV)感染は,ギラン–バレー症候群と関連することが示されている.2015 年 11 月~2016 年 3 月に,コロンビアで,ZIKV 感染集団発生時にギラン–バレー症候群の症例群が観察された.われわれは,この ZIKV 感染集団発生下でのギラン–バレー症候群症例の臨床像を明らかにし,ZIKV 感染との関連を検討した.

方 法

コロンビアの 6 病院でギラン–バレー症候群と診断された 68 例を臨床的に評価し,うち 42 例にウイルス学的検査を行った.逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)法を用いて血中,脳脊髄液中,尿中の ZIKV の検出を行い,抗フラビウイルス抗体検査も行った.

結 果

66 例(97%)に,ギラン–バレー症候群の発症前に ZIKV 感染に一致する症状があった.ZIKV 感染の発症からギラン–バレー症候群の発症までの期間の中央値は 7 日(四分位範囲 3~10)であった.診察にて,両側顔面神経麻痺が全 68 例の半数に認められた.神経伝導検査と筋電図検査を行った 46 例のうち,36 例(78%)がギラン–バレー症候群の 1 病型である急性炎症性脱髄性多発ニューロパチー(AIDP)に一致した.RT-PCR 法による ZIKV 検出が行われた 42 例のうち,17 例(40%)が陽性であった.陽性結果のほとんどは尿検体で得られたものであったが(RT-PCR 陽性の 17 例中 16 例),3 例は脳脊髄液検体も陽性であった.検査を受けた 42 例のうち,18 例(43%)の ZIKV 感染は臨床所見および免疫学的所見に裏付けられた.42 例中 20 例(48%)のギラン–バレー症候群は,感染時の発症であった.デング熱ウイルス感染は,検査された全例で RT-PCR 陰性であった.

結 論

コロンビアにおける ZIKV 感染集団発生時にギラン–バレー症候群と診断された患者で,ZIKV 感染が RT-PCR 法で確認されたことから,ギラン–バレー症候群の発症における ZIKV 感染の関与が支持される.(Bart McLean Fund for Neuroimmunology Research ほかから研究助成を受けた.)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2016; 375 : 1513 - 23. )