The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

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日本語アブストラクト

December 1, 2016 Vol. 375 No. 22

PCSK9 および HMGCR の多様体と心血管疾患および糖尿病のリスク
Variation in PCSK9 and HMGCR and Risk of Cardiovascular Disease and Diabetes

B.A. Ference and Others

背景

前駆蛋白転換酵素サブチリシン/ケキシン 9 型(PCSK9)を阻害する薬理学的因子の心血管疾患に対する治療効果が臨床試験で評価されている.PCSK9 阻害による低比重リポ蛋白(LDL)コレステロールの低下が,心血管イベントや糖尿病のリスクに及ぼす影響は不明である.

方 法

PCSK9 と 3-ヒドロキシ-3-メチルグルタリル補酵素 A 還元酵素(HMGCR,スタチンの標的)をコードする遺伝子の独立に遺伝した多様体から成る遺伝子スコアを操作変数として,14 試験の,心血管イベント 14,120 例,糖尿病 10,635 例を含む計 112,772 例を,LDL コレステロールを低下させる遺伝性のアレルの数をもとにグループに無作為化した.PCSK9 または HMGCR,あるいはその両方の多様体により媒介される LDL コレステロールの低下が,心血管イベントのリスクと糖尿病のリスクに及ぼす影響を比較した.

結 果

LDL コレステロールが 10 mg/dL(0.26 mmol/L)低下するごとの心血管イベントのリスクに対する保護作用は,PCSK9 多様体と HMGCR 多様体でほぼ同じであり,心血管イベントのオッズ比は PCSK9 が 0.81(95%信頼区間 [CI] 0.74~0.89),HMGCR が 0.81(95% CI 0.72~0.90)であった.これら 2 つの遺伝子の多様体は,糖尿病のリスクに対してもほぼ同じ作用を示し,LDL コレステロールが 10 mg/dL 低下するごとのオッズ比は,PCSK9 が 1.11(95% CI 1.04~1.19),HMGCR が 1.13(95% CI 1.06~1.20)であった.糖尿病のリスク上昇は,いずれのスコアについても,空腹時血糖値異常例でのみ認められ,心血管イベントに対する保護作用よりも小さかった.PCSK9 多様体と HMGCR 多様体の両方が存在する場合,心血管イベントと糖尿病の両方のリスクに相加的な影響を及ぼした.

結 論

今回の試験で,PCSK9 の多様体は,LDL コレステロールが 1 単位低下するごとの心血管イベントおよび糖尿病のリスクに対して,HMGCR の多様体とほぼ同じ作用を示した.これらの多様体の作用は独立かつ相加的であった.(英国医学研究評議会,米国国立心臓・肺・血液研究所から研究助成を受けた.)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2016; 375 : 2144 - 53. )