The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

December 15, 2016 Vol. 375 No. 24

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

オフポンプ冠動脈バイパス術とオンポンプ冠動脈バイパス術の術後 5 年の成績の比較
Five-Year Outcomes after Off-Pump or On-Pump Coronary-Artery Bypass Grafting

A. Lamy and Others

背景

われわれは以前に,心拍動下冠動脈バイパス術(オフポンプ CABG)を施行した患者と,人工心肺使用下冠動脈バイパス術(オンポンプ CABG)を施行した患者とで,術後 30 日と 1 年の時点での死亡,脳卒中,心筋梗塞,腎不全から成る複合転帰の発生率に有意差は認められないことを報告した.今回は,5 年目(試験終了時)の成績を報告する.

方 法

冠動脈疾患患者 4,752 例(19 ヵ国)を,オフポンプ CABG 施行群とオンポンプ CABG 施行群に無作為に割り付けた.今回の報告では,死亡,脳卒中,心筋梗塞,腎不全,再冠血行再建(CABG または経皮的冠動脈インターベンション)から成る複合転帰を分析した.平均追跡期間は 4.8 年であった.

結 果

複合転帰の発生率に,オフポンプ群とオンポンプ群とで有意差は認められなかった(それぞれ 23.1%と 23.6%,オフポンプ CABG のハザード比 0.98,95%信頼区間 [CI] 0.87~1.10,P=0.72).また,転帰の各項目にも有意差は認められず,たとえば再冠血行再建率はオフポンプ群 2.8%,オンポンプ群 2.3%であった(ハザード比 1.21,95% CI 0.85~1.73,P=0.29).試験期間を通して,副次的転帰とした 1 患者あたりの米ドルでの平均費用にも,オフポンプ群とオンポンプ群とで有意差は認められなかった(それぞれ 15,107 ドルと 14,992 ドル,群間差 115 ドル,95% CI -697 ドル~927 ドル).QOL 指標に群間で有意差は認められなかった.

結 論

この試験では,追跡期間 5 年の時点での死亡,脳卒中,心筋梗塞,腎不全,再冠血行再建から成る複合転帰の発生率は,オフポンプ CABG を施行した患者とオンポンプ CABG を施行した患者とで同程度であった.(カナダ国立保健研究機構から研究助成を受けた.CORONARY 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT00463294)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2016; 375 : 2359 - 68. )