The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

December 29, 2016 Vol. 375 No. 26

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

両側内胸動脈による CABG と片側内胸動脈による CABG との無作為化比較試験
Randomized Trial of Bilateral versus Single Internal-Thoracic-Artery Grafts

D.P. Taggart and Others

背景

冠動脈バイパス術(CABG)に両側内胸(乳)動脈を使用することで,片側内胸動脈+静脈と比較して,長期転帰が改善する可能性がある.

方 法

7 ヵ国 28 ヵ所の心臓外科センターで,CABG を予定している患者を,片側内胸動脈を使用する群と両側内胸動脈を使用する群に無作為に割り付けた.主要転帰は 10 年の時点での全死因死亡とした.副次的転帰は全死因死亡,心筋梗塞,脳卒中の複合とした.中間解析を追跡 5 年の時点で行うことを事前に規定した.

結 果

3,102 例が登録され,1,554 例が片側内胸動脈を使用する群(片側内胸動脈群),1,548 例が両側内胸動脈を使用する群(両側内胸動脈群)に無作為に割り付けられた.追跡 5 年の時点で,死亡率は,両側内胸動脈群 8.7%,片側内胸動脈群 8.4%であり(ハザード比 1.04,95%信頼区間 [CI] 0.81~1.32,P=0.77),全死因死亡,心筋梗塞,脳卒中の複合発生率は,それぞれ 12.2%と 12.7%であった(ハザード比 0.96,95% CI 0.79~1.17,P=0.69).胸骨創感染の発生率は,両側内胸動脈群 3.5%に対し片側内胸動脈群 1.9%であり(P=0.005),胸骨再建率は 1.9%に対し 0.6%であった(P=0.002).

結 論

CABG を施行する患者では,片側内胸動脈を使用した患者と両側内胸動脈を使用した患者とのあいだで,追跡 5 年の時点での死亡率,および心血管イベントの発生率に有意差は認められなかった.両側内胸動脈では,片側内胸動脈と比較して胸骨創感染が多かった.10 年間の追跡が現在行われている.(英国心臓財団ほかから研究助成を受けた.ART 試験:Current Controlled Trials 登録番号 ISRCTN46552265)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2016; 375 : 2540 - 9. )