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July 28, 2016 Vol. 375 No. 4

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2 型糖尿病におけるリラグルチドと心血管転帰
Liraglutide and Cardiovascular Outcomes in Type 2 Diabetes

S.P. Marso and Others

背景

2 型糖尿病患者の標準治療にグルカゴン様ペプチド 1 アナログであるリラグルチドを追加した場合の心血管系に対する効果は明らかにされていない.

方 法

二重盲検試験において,2 型糖尿病で心血管リスクが高い患者を,リラグルチド投与群とプラセボ投与群に無作為に割り付けた.生存時間(time-to-event)解析では,心血管系の原因による死亡,非致死的心筋梗塞,非致死的脳卒中のいずれかの初回発生を主要複合転帰とした.主要転帰に関してリラグルチドはプラセボに対して非劣性であることを主要仮説とし,ハザード比の 95%信頼区間上限 1.30 をマージンとした.事前に規定した探索的転帰については多重比較の補正は行わなかった.

結 果

9,340 例を無作為化した.追跡期間中央値は 3.8 年であった.主要転帰の発生は,リラグルチド群(4,668 例中 608 例 [13.0%])のほうがプラセボ群(4,672 例中 694 例 [14.9%])よりも有意に少なかった(ハザード比 0.87,95%信頼区間 [CI] 0.78~0.97,非劣性について P<0.001,優越性について P=0.01).心血管系の原因による死亡も,リラグルチド群(219 例 [4.7%])のほうがプラセボ群(278 例 [6.0%])よりも少なかった(ハザード比 0.78,95% CI 0.66~0.93,P=0.007).全死因死亡率も,リラグルチド群(381 例 [8.2%])のほうがプラセボ群(447 例 [9.6%])よりも低かった(ハザード比 0.85,95% CI 0.74~0.97,P=0.02).非致死的心筋梗塞,非致死的脳卒中,心不全による入院が発生した割合は,リラグルチド群のほうがプラセボ群よりも低かったが,有意差は認められなかった.リラグルチドの中止にいたった有害事象で頻度が高かったのは,消化器障害であった.膵炎の発症率は,リラグルチド群のほうがプラセボ群よりも低かったが,有意差は認められなかった.

結 論

生存時間解析では,2 型糖尿病患者で心血管系の原因による死亡,非致死的心筋梗塞,非致死的脳卒中のいずれかが初回発生した割合は,リラグルチド群のほうがプラセボ群よりも低かった.(Novo Nordisk 社,米国国立衛生研究所から研究助成を受けた.LEADER 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01179048)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2016; 375 : 311 - 22. )