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July 28, 2016 Vol. 375 No. 4

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経カテーテル大動脈弁置換術中の von Willebrand 因子マルチマー
Von Willebrand Factor Multimers during Transcatheter Aortic-Valve Replacement

E. Van Belle and Others

背景

大動脈弁狭窄症で経カテーテル大動脈弁置換術(TAVR)を受ける患者の 10~20%で,術後大動脈弁閉鎖不全症(AR)が発生する.われわれは,TAVR 中の von Willebrand 因子高分子量(HMW)マルチマーの欠損の評価,あるいは止血のポイントオブケア評価によって,AR をモニタリングすることができるという仮説を立てた.

方 法

TAVR を施行予定の 183 例を登録した.初回置換術後,経食道心エコーで AR が認められた患者には,逆流を防ぐためにバルーン拡張術を追加施行した.HMW マルチマーの比率の評価と,止血のポイントオブケア評価指標としてのアデノシン二リン酸による閉鎖時間(CT-ADP)の評価を,ベースラインと TAVR の各工程の 5 分後に行った.死亡率は 1 年の時点で評価した.AR 患者の同定における CT-ADP 使用の妥当性の検証を,第 2 コホート(201 例)で行った.

結 果

初回置換術後,HMW マルチマーの比率は,AR が認められない患者(137 例)で正常化した.AR が認められた 46 例では,追加施行したバルーン拡張術が成功した 20 例では正常化したが,AR が持続した 26 例では正常化しなかった.CT-ADP についても,同様の一連の変化が認められた.CT-ADP 値 180 秒超で AR 検出の感度 92.3%,特異度 92.4%,陰性適中率 98.6%であり,検証コホートでも同様の結果であった.多変量解析では,TAVR 終了時の HMW マルチマーの比率と CT-ADP の値は,いずれも 1 年の時点での死亡率に関連した.

結 論

HMW マルチマーの欠損の存在と,止血のポイントオブケア評価指標である CT-ADP の高値は,いずれも TAVR 後の AR の予測因子であり,術後 1 年の時点での死亡率がより高いことに関連した.(リール第二大学ほかから研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02628509)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2016; 375 : 335 - 44. )