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August 4, 2016 Vol. 375 No. 5

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化膿性汗腺炎に対するアダリムマブの 2 件の第 3 相試験
Two Phase 3 Trials of Adalimumab for Hidradenitis Suppurativa

A.B. Kimball and Others

背景

化膿性汗腺炎は,有効な治療選択肢のほとんどない有痛性の慢性炎症性皮膚疾患である.抗腫瘍壊死因子α抗体アダリムマブは,第 2 相試験で化膿性汗腺炎に対して有効性を示した.

方 法

化膿性汗腺炎に対するアダリムマブの多施設共同第 3 相試験である PIONEER I,PIONEER II 試験は,2 つの二重盲検プラセボ対照期間で検討する,デザインの類似した試験である.第 1 期は 12 週間で,患者を,アダリムマブ 40 mg を週に 1 回投与する群とマッチさせたプラセボを投与する群に,1:1 の割合で無作為に割り付けた.第 2 期は 24 週間で,患者を,アダリムマブを週に 1 回投与する群,2 週に 1 回投与する群,プラセボを投与する群に再び割り付けた.主要評価項目は 12 週の時点での臨床反応とし,膿瘍と炎症性小結節の総数がベースラインから 50%以上減少し,膿瘍または排膿性瘻孔の数が増加していないことと定義した.

結 果

PIONEER I 試験に 307 例,PIONEER II 試験に 326 例を登録した.12 週の時点での臨床反応率は,アダリムマブ週 1 回投与群のほうがプラセボ群よりも有意に高く,PIONEER I 試験では 41.8% 対 26.0%(P=0.003),PIONEER II 試験では 58.9% 対 27.6%(P<0.001)であった.PIONEER II 試験でのみ,12 週の時点での順位付けされた副次的評価項目(病変数,疼痛スコア,疾患の重症度を評価する修正 Sartorius スコア)が,アダリムマブ投与例でプラセボ投与例よりも有意に大きく改善した.第 1 期の重篤な有害事象(基礎疾患の悪化を除く)の発現率は,PIONEER I 試験のアダリムマブ投与例では 1.3%,プラセボ投与例では 1.3%であり,PIONEER II 試験ではそれぞれ 1.8%,3.7%であった.第 2 期については両試験で全群 4.6%以下であり,群間で有意差は認められなかった.

結 論

アダリムマブ(40 mg 週 1 回)投与は,プラセボ投与と比較して,12 週の時点での臨床反応率が両試験とも有意に高く,重篤な有害事象の発現率は同程度であった.(AbbVie 社から研究助成を受けた.PIONEER I 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01468207,PIONEER II 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01468233)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2016; 375 : 422 - 34. )