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July 7, 2016 Vol. 375 No. 1

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州法による規制と障害のある成人における処方オピオイドの使用
State Legal Restrictions and Prescription-Opioid Use among Disabled Adults

E. Meara and Others

背景

米国では,オピオイドの乱用率と過量服用率の上昇を受け,複数の州で規制薬物の処方と調剤を制限する法律が制定された.これらの法律がオピオイドの使用に与える影響は不明である.

方 法

処方オピオイドの受領と,規制薬物に関する州法との関連を検証した.暦年で 1 年を通じて生存していた,障害のある 21~64 歳の,出来高払い方式のメディケア受給者の管理データ(2006~12 年に 870 万人年)と,州法(処方薬モニタリングプログラムなど)のオリジナルデータセットを用いて,4 人以上からオピオイドの処方を受けた人,処方量が 1 日のモルヒネ換算量(MED)にして 120 mg を超えた人,非致死的な処方オピオイド過量服用の治療を受けた人の年間の割合を調査した.また,8 種類の法律で,オピオイドの処方・調剤の転帰にどの程度のばらつきがあるのかを推定した.

結 果

2006~12 年に,新たに 81 の規制薬物法が制定された.オピオイドの受領と有害になりうる処方パターンは高頻度に認められ,2012 年だけでも,受給者の 47%がオピオイド処方の調剤を受けており(25%が暦上の四半期で 1~3 期,22%が毎四半期),8%は 4 人以上から処方を受け,5%はいずれかの暦上の四半期に処方量が 1 日の MED にして 120 mg を超える処方を受け,0.3%は非致死的な処方オピオイドの過量服用の治療を受けた.オピオイドの処方・調剤の転帰には,特定の法律の種類とのあいだにも,施行された法律の種類の数とのあいだにも,有意な関連は認められなかった.たとえば,処方量が 1 日の MED にして 120 mg を超える処方を受けた受給者の割合は,処方薬モニタリングプログラムを導入しても減少しなかった(0.27 パーセントポイント差,95%信頼区間 [CI] -0.05~0.59).

結 論

規制薬物法の制定は,障害のあるメディケア受給者という,とくにリスクがある集団において,有害になりうるオピオイドの使用や過量服用の減少には関連しなかった.(米国国立老化研究所ほかから研究助成を受けた.)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2016; 375 : 44 - 53. )