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August 11, 2016 Vol. 375 No. 6

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薬理学的シャペロンであるミガラスタトによるファブリー病の治療
Treatment of Fabry’s Disease with the Pharmacologic Chaperone Migalastat

D.P. Germain and Others

背景

ファブリー病は,リソソームのαガラクトシダーゼが欠損する X 連鎖障害であり,多くの臓器で基質が蓄積する.経口薬理学的シャペロンであるミガラスタト(migalastat)は,特定の変異型αガラクトシダーゼを安定化し,酵素のリソソームへの輸送を増加させる.

方 法

ファブリー病患者 67 例を変異型αガラクトシダーゼのアッセイにより分類し,ミガラスタト群またはプラセボ群に無作為に割り付け,6 ヵ月間の二重盲検投与を行い(第 1 期),その後,ミガラスタトの非盲検投与を 6 ヵ月目~12 ヵ月目に行い(第 2 期),その後さらに 1 年間投与した.しかし,最初に用いたアッセイには限界があったため,妥当性の証明されている新しいアッセイを行い,ミガラスタトの標的として適している変異型αガラクトシダーゼの保有例は,67 例中 50 例であることが非盲検化前に明らかになった.主要エンドポイントは,6 ヵ月の時点で効果が認められた患者(腎間質毛細血管あたりのグロボトリアオシルセラミド封入体数が50%以上減少)の割合(%)とした.安全性を,疾患基質や,腎臓,心血管,患者報告の転帰とともに評価した.

結 果

保有する変異型αガラクトシダーゼが,ミガラスタト治療に適していた例も適していなかった例も対象とした主要エンドポイント解析では,有意な治療効果は示されず,6 ヵ月の時点で効果が認められた患者は,ミガラスタトを投与した 32 例のうち 13 例(41%),プラセボを投与した 32 例のうち 9 例(28%)であった(P=0.30).ミガラスタト治療に適した変異型αガラクトシダーゼの保有例に,24 ヵ月間ミガラスタトを投与した場合,推算糸球体濾過量(GFR)の年率換算したベースラインからの変化は,体表面積 1.73 m2 あたり -0.30±0.66 mL/分,実測 GFR は 1.73 m2 あたり -1.51±1.33 mL/分 であった.左室重量係数はベースラインから有意に減少し(-7.7 g/m2,95%信頼区間 [CI] -15.4~-0.01),とくに左室肥大を認める場合に顕著であった(-18.6 g/m2,95% CI -38.2~1.0).下痢,逆流,消化不良の重症度は低下した.

結 論

無作為化した患者全例(保有する変異型αガラクトシダーゼがミガラスタト治療に適していた例も適していなかった例も含む)において,6 ヵ月の時点で効果が認められた患者の割合に,ミガラスタト群とプラセボ群とのあいだで有意差は認められなかった.(Amicus Therapeutics 社から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT00925301 [AT1001-011 試験] および NCT01458119 [AT1001-041 試験])

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2016; 375 : 545 - 55. )