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September 8, 2016 Vol. 375 No. 10

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閉塞性睡眠時無呼吸患者の心血管イベント予防のための持続陽圧呼吸
CPAP for Prevention of Cardiovascular Events in Obstructive Sleep Apnea

R.D. McEvoy and Others

背景

閉塞性睡眠時無呼吸は心血管イベントのリスク上昇に関連している.持続陽圧呼吸(CPAP)療法を行うことで重大な心血管イベントが予防されるかは不明である.

方 法

中等症~重症の閉塞性睡眠時無呼吸と冠動脈疾患または脳血管疾患を有する 45~75 歳の患者を適格とし,偽 CPAP を使用する 1 週間の導入期間を終了した 2,717 例を,CPAP 療法+通常のケアを行う群(CPAP 群)と,通常のケアのみを行う群(通常ケア群)に無作為に割り付けた.主要エンドポイントは,心血管系の原因による死亡,心筋梗塞,脳卒中,不安定狭心症/心不全/一過性脳虚血発作による入院の複合とした.副次的エンドポイントは,その他の心血管イベント,健康関連 QOL,いびき症状,日中の眠気,気分などとした.

結 果

患者の大半は男性で,中等症~重症の閉塞性睡眠時無呼吸を有し,日中に軽度の眠気がみられた.CPAP 群では,CPAP 療法の平均遵守時間は 1 晩あたり 3.3 時間であり,平均無呼吸低呼吸指数(記録中 1 時間あたりの無呼吸・低呼吸イベントの回数)はベースラインの 29.0 から追跡期間中に 3.7 に減少した.平均追跡期間 3.7 年の時点で,主要エンドポイントは CPAP 群 229 例(17.0%),通常ケア群 207 例(15.4%)に発生した(CPAP 群のハザード比 1.10,95%信頼区間 0.91~1.32,P=0.34).主要エンドポイントの各項目,およびその他の心血管エンドポイントの複合に対する有意な効果は認められなかった.CPAP 療法により,いびきと日中の眠気が有意に減少し,健康関連 QOL と気分が改善した.

結 論

中等症~重症の閉塞性睡眠時無呼吸を有し,心血管疾患と診断されている患者に CPAP 療法と通常のケアを行っても,通常のケアのみを行った場合と比較して,心血管イベントは予防されなかった.(オーストラリア国立保健医療研究審議会ほかから研究助成を受けた.SAVE 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT00738179,Australian New Zealand Clinical Trials Registry 番号 ACTRN12608000409370)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2016; 375 : 919 - 31. )