The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

March 30, 2017 Vol. 376 No. 13

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

早産児におけるドコサヘキサエン酸と気管支肺異形成症
Docosahexaenoic Acid and Bronchopulmonary Dysplasia in Preterm Infants

C.T. Collins and Others

背景

動物およびヒトを対象とした試験では,n–3 長鎖多価不飽和脂肪酸であるドコサヘキサエン酸(DHA)が気管支肺異形成症のリスクを低下させる可能性があることが示唆されているが,適切にデザインされた試験は不足している.

方 法

在胎 29 週未満で出生した児 1,273 例を,最初の経腸栄養後 3 日以内に,60 mg/kg/日の DHA を含む乳剤群と DHA を含まない対照(大豆)乳剤群に無作為に割り付け(性別,在胎週数 [<27 週または 27~<29 週],施設で層別化),最終月経開始日から起算して 36 週まで経腸投与した.主要転帰は,最終月経開始日から起算して 36 週または自宅退院のいずれか早いほうの時点での,生理学的根拠(一部の乳児では酸素飽和度モニタリングによる)で定義された気管支肺異形成症とした.

結 果

1,205 例が主要転帰の評価時点まで生存した.生理学的気管支肺異形成症を有するとされた児は,DHA 群では 592 例中 291 例(多重代入法により 49.1%)であったのに対し,対照群では 613 例中 269 例(43.9%)であった(無作為化時の層で補正した相対リスク 1.13,95%信頼区間 [CI] 1.02~1.25,P=0.02).副次的複合転帰である,最終月経開始日から起算して 36 週より前に発現した生理学的気管支肺異形成症または死亡は,DHA 群の 52.3%,対照群の 46.4%に発生した(補正相対リスク 1.11,95% CI 1.00~1.23,P=0.045).死亡率,その他すべての新生児疾患の発症率に群間で有意差は認められなかった.臨床的定義に基づく気管支肺異形成症は,DHA 群の 53.2%と対照群の 49.7%が発症した(P=0.06).

結 論

在胎 29 週未満で出生した早産児において,DHA 60 mg/kg/日の経腸投与は,対照乳剤と比較して生理学的気管支肺異形成症のリスクを低下させず,リスクを増大させた可能性がある.(オーストラリア国立保健医療研究審議会ほかから研究助成を受けた.Australian New Zealand Clinical Trials Registry 番号 ACTRN12612000503820)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2017; 376 : 1245 - 55. )