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May 4, 2017 Vol. 376 No. 18

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甲状腺眼症に対するテプロツムマブ
Teprotumumab for Thyroid-Associated Ophthalmopathy

T.J. Smith and Others

背景

甲状腺眼症は,グレーブス病(バセドウ病)患者によくみられる症状であるが,いまだに適切な治療がない.現在の薬物療法には主にステロイドが用いられているが,有効性が限られ,安全性に懸念がある.インスリン様成長因子 I 受容体(IGF-IR)の阻害は,眼症の基礎にある自己免疫学的病因を減弱させるための,新たな治療戦略である.

方 法

IGF-IR を阻害するヒトモノクローナル抗体テプロツムマブ(teprotumumab)の有効性と安全性を評価するために,中等度~重度の活動期眼症患者を対象に,多施設共同二重盲検無作為化プラセボ対照試験を行った.88 例を,プラセボ群と実薬群に無作為に割り付け,静脈内投与を 3 週ごとに計 8 回行った.主要エンドポイントは対象眼における治療効果とした.治療効果は,24 週の時点で,臨床的活動性スコア(スコアの範囲は 0~7 で,3 以上は活動期甲状腺眼症であることを示す)が 2 ポイント以上低下し,眼球突出が 2 mm 以上減少していることと定義した.副次的エンドポイントは,眼球突出,臨床的活動性スコア,バセドウ病眼症特異的 QOL 質問票の結果などとし,連続変数として測定した.有害事象も評価した.

結 果

intention-to-treat 集団において,24 週の時点で効果が認められたのは,実薬群では 42 例中 29 例(69%)であったのに対し,プラセボ群では 45 例中 9 例(20%)であった(P<0.001).治療には即効性があり,6 週の時点で効果が認められたのは,実薬群 42 例中 18 例(43%)とプラセボ群 45 例中 2 例(4%)であった(P<0.001).群間差は経時的に拡大した.薬物関連の有害事象は糖尿病患者における高血糖のみであり,糖尿病治療薬を調整することでコントロールされた.

結 論

活動期眼症の患者において,テプロツムマブは,プラセボと比較して眼球突出の軽減と,臨床的活動性スコアの低下に有効であった.(River Vision Development 社ほかから研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01868997)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2017; 376 : 1748 - 61. )