PCI のガイドに用いる瞬時血流予備量比と冠血流予備量比との比較
Instantaneous Wave-free Ratio versus Fractional Flow Reserve to Guide PCI
M. Götberg and Others
瞬時血流予備量比(iFR)は,冠動脈狭窄の重症度の評価に用いられる指標である.この指標は,小規模試験で冠血流予備量比(FFR)と比較検討されており,診断精度は同程度であることが示されている.しかし,iFR の使用に関連する臨床転帰を検討した試験は不足している.われわれは,iFR が,その後の主要有害心イベントの発生率に関して,FFR に対する非劣性を示すかどうかを評価した.
スウェーデン冠動脈造影・形成登録(SCAAR)を用いた多施設共同無作為化比較非盲検臨床試験を行った.生理学的指標に基づく冠動脈狭窄の評価の適応がある安定狭心症または急性冠症候群の患者 2,037 例を,血行再建のガイドに iFR を用いる群と FFR を用いる群に無作為に割り付けた.主要エンドポイントは,手技後 12 ヵ月以内の全死因死亡,非致死的心筋梗塞,予定外の血行再建の複合発生率とした.
主要エンドポイントは,iFR 群 1,012 例中 68 例(6.7%)と FFR 群 1,007 例中 61 例(6.1%)に発生した(イベント発生率の差 0.7 パーセントポイント,95%信頼区間 [CI] -1.5~2.8,非劣性の P=0.007,ハザード比 1.12,95% CI 0.79~1.58,P=0.53).イベント発生率の差の 95%信頼区間の上限は,事前に規定した非劣性マージンの 3.2 パーセントポイント以内であった.主なサブグループ間で結果は同様であった.心筋梗塞,標的病変血行再建,再狭窄,ステント血栓症の発生率に群間で有意差は認められなかった.FFR 群では,手技中に胸部不快感を訴える患者の割合が iFR 群と比較して有意に高かった.
安定狭心症または急性冠症候群の患者において,iFR をガイドにする血行再建は,12 ヵ月の時点での主要有害心イベントの発生率に関して,FFR をガイドにする血行再建に対する非劣性を示した.(Philips Volcano 社から研究助成を受けた.iFR SWEDEHEART 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02166736)