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May 18, 2017 Vol. 376 No. 20

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高リスク血管疾患におけるエバセトラピブと心血管転帰
Evacetrapib and Cardiovascular Outcomes in High-Risk Vascular Disease

A.M. Lincoff and Others

背景

コレステリルエステル転送蛋白阻害薬エバセトラピブ(evacetrapib)は,高比重リポ蛋白(HDL)コレステロール値を著明に上昇させ,低比重リポ蛋白(LDL)コレステロール値を低下させ,細胞からのコレステロール引抜き能を増強する.エバセトラピブが高リスク血管疾患患者の主要な有害心血管転帰に与える影響を検討した.

方 法

多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照第 3 相試験で,30~365 日以内に発症した急性冠症候群,アテローム硬化性脳血管疾患,末梢動脈疾患,冠動脈疾患を伴う糖尿病のうち,1 つ以上を有する患者 12,092 例を登録した.患者を,標準薬物療法に加えて,エバセトラピブ 130 mg/日を投与する群と,マッチさせたプラセボを投与する群に無作為に割り付けた.主要有効性エンドポイントは,心血管系の原因による死亡,心筋梗塞,脳卒中,冠血行再建,不安定狭心症による入院の複合項目のいずれかの最初の発生とした.

結 果

3 ヵ月の時点で,平均 LDL コレステロール値はエバセトラピブ群で 31.1%低下したのに対し,プラセボ群では 6.0%上昇し,平均 HDL コレステロール値はエバセトラピブ群で 133.2%上昇したのに対し,プラセボ群では 1.6%上昇した.設定した主要エンドポイントイベント 1,670 件のうち 1,363 件が発生した時点で,データ安全性モニタリング委員会は,有効性の欠如により試験の早期中止を勧告した.エバセトラピブまたはプラセボの投与期間の中央値 26 ヵ月の時点で,主要エンドポイントイベントは,エバセトラピブ群の 12.9%とプラセボ群の 12.8%で発生した(ハザード比 1.01,95%信頼区間 0.91~1.11,P=0.91).

結 論

高リスク血管疾患患者におけるコレステリルエステル転送蛋白阻害薬エバセトラピブの投与は,確立した脂質バイオマーカーに対し良好な効果をもたらしたが,エバセトラピブを投与しても,プラセボと比較して心血管イベント発生率は低下しなかった.(Eli Lilly 社から研究助成を受けた.ACCELERATE 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01687998)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2017; 376 : 1933 - 42. )