January 19, 2017 Vol. 376 No. 3
ニューヨークで合成カンナビノイド AMB-FUBINACA によって引き起こされた「ゾンビ」集団発生
“Zombie” Outbreak Caused by the Synthetic Cannabinoid AMB-FUBINACA in New York
A.J. Adams and Others
米国では,新規精神活性物質が乱用薬物として増加し,多様化している.2016 年 7 月 12 日,ニューヨーク市の 1 地区で,合成カンナビノイドによる 33 人の集団中毒が発生し,大衆紙は中毒者らの様子から「ゾンビ」の集団発生と報じた.
現地の病院に搬送された 18 例のうち,8 例の血清,全血,尿検体を入手し分析した.集団発生の原因とされるハーブ「香料」製品である「AK-47 24 Karat Gold」のサンプルも分析した.サンプルの分析には,液体クロマトグラフィ/四重極飛行時間型質量分析計を用いた.
AK-47 24 Karat Gold 中に,合成カンナビノイドであるメチル 2-(1-(4-フルオロベンジル)-1H-インダゾール-3-カルボキサミド)-3-メチルブタノエート(AMB-FUBINACA,別名 MMB-FUBINACA,FUB-AMB)が同定され,平均(±SD)濃度は 16.0±3.9 mg/g であった.8 例全例の血清または全血中に脱エステル化された酸代謝物が検出され,濃度の範囲は 77~636 ng/mL であった.
この解析で同定された合成カンナビノイドの効力は,今回の集団中毒で報告された「ゾンビ様」行動をもたらす強力な中枢神経抑制作用と一致する.AMB-FUBINACA は,新たに出現した「超強力な」合成カンナビノイド類の一例であり,公衆衛生上の懸念になるものである.臨床検査スタッフ,医療従事者,法執行機関の協力によって,この化合物が速やかに同定され,公衆衛生当局が適切な措置をとることができた.