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January 19, 2017 Vol. 376 No. 3

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南アフリカにおける超多剤耐性結核の伝播
Transmission of Extensively Drug-Resistant Tuberculosis in South Africa

N.S. Shah and Others

背景

薬剤耐性結核は,結核とヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症の治療における近年の進歩を世界規模で脅かすものである.南アフリカでは超多剤耐性(XDR)結核の流行が拡大しており,2002 年以降症例は大幅に増加している.このような急増の要因は完全には明らかにされていないが,公衆衛生介入の指導にあたっては知っておく必要がある.

方 法

2011~14 年に南アフリカのクワズール・ナタール州で XDR 結核の診断を受けた 404 例を対象に,前向き研究を行った.面談と診療録の再検討を行い,患者の結核と HIV 感染症の既往,入院歴,ソーシャルネットワークに関する情報を得た.結核菌分離株を用いて,挿入配列(IS)6110 制限酵素断片長多型解析,標的遺伝子配列決定,全ゲノム配列決定を行った.症例の臨床的定義と遺伝子型による定義を用いて,多剤耐性(MDR)結核の不適切な治療に起因する(すなわち,耐性の獲得による)XDR 結核症例の割合と,伝播に起因する(すなわち,耐性の伝播による)XDR 結核症例の割合を求め,比較した.また,ソーシャルネットワーク解析を用いて,伝播の起きた地域社会および病院の位置を同定した.

結 果

404 例のうち,311 例(77%)が HIV 感染者であり,CD4 陽性細胞数の中央値は 340/mm3(四分位範囲 117~431)であった.280 例(69%)は MDR 結核の治療歴がなかった.386 例を対象に行った遺伝子型解析では,323 例(84%)の遺伝子型が 31 クラスターのいずれかに属することがわかった.クラスターの規模は,LAM4/KZN 株を有する 212 例(55%)から成る 1 つの大規模クラスター以外は,2~14 例であった.個人と個人,または病院をもとにした疫学的関連は 404 例中 123 例(30%)で同定された.

結 論

結核の負担が大きい南アフリカのクワズール・ナタール州では,XDR 結核症例の大部分は,おそらく,MDR 結核の不適切な治療よりは,伝播に起因するものであった.今回のデータは,薬剤耐性結核の流行を制御するには伝播の阻止によりいっそう注力する必要があることを示唆している.(米国国立アレルギー感染症研究所ほかから研究助成を受けた.)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2017; 376 : 243 - 53. )