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January 26, 2017 Vol. 376 No. 4

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小児における院内心停止後の低体温療法
Therapeutic Hypothermia after In-Hospital Cardiac Arrest in Children

F.W. Moler and Others

背景

院外心停止後昏睡状態の成人および小児には,目標体温管理が推奨されている.しかし,院内心停止後の体温管理に関するデータは限られている.

方 法

37 の小児病院で,院内心停止を起こした小児を対象に,2 つの体温介入を比較した.生後 48 時間超 18 歳未満で昏睡状態の児を,心拍再開後 6 時間以内に低体温療法(目標体温 33.0℃)を行う群と,正常体温療法(目標体温 36.8℃)を行う群に無作為に割り付けた.主要有効性転帰は,心停止後 12 ヵ月の時点で,ヴァインランド適応行動尺度第 2 版(VABS-II)のスコア(20~160 で,高いほど機能が良好であることを示す)が 70 以上での生存とし,心停止前の VABS-II スコアが 70 以上であった児を対象に評価した.

結 果

試験は,329 例を無作為化したあと,無益性のため終了された.心停止前の VABS-II スコアが 70 以上で,主要有効性転帰の発生率について評価しえた 257 例では,低体温群と正常体温群とで有意差は認められなかった(それぞれ 36% [133 例中 48 例] と 39% [124 例中 48 例],相対リスク 0.92,95%信頼区間 [CI] 0.67~1.27,P=0.63).神経行動学的機能の変化について評価しえた 317 例では,ベースラインから 12 ヵ月後までの VABS-II スコアの変化に群間で有意差は認められなかった(P=0.70).1 年生存率について評価しえた 327 例では,低体温群と正常体温群とで有意差は認められなかった(それぞれ 49% [166 例中 81 例] と 46% [161 例中 74 例],相対リスク 1.07,95% CI 0.85~1.34,P=0.56).血液製剤の使用率,感染症の発生率,重篤な有害事象の発現率,28 日死亡率に,群間で有意差は認められなかった.

結 論

院内心停止から蘇生した昏睡状態の小児に低体温療法を行っても,正常体温療法と比較して,1 年の時点における良好な機能状態での生存に有意な利益はもたらされなかった.(米国国立心臓・肺・血液研究所から研究助成を受けた.THAPCA-IH 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT00880087)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2017; 376 : 318 - 29. )