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January 26, 2017 Vol. 376 No. 4

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組換え水疱性口内炎ウイルスエボラワクチン
A Recombinant Vesicular Stomatitis Virus Ebola Vaccine

J.A. Regules and Others

背景

史上最悪のエボラウイルス病(EVD)の大流行により,28,000 人以上の患者と 11,000 人以上の死者が出た.われわれは,複製能を有する弱毒化組換え水疱性口内炎ウイルス(rVSV)をベースとした,EVD 予防のためにデザインされたワクチン候補の第 1 相試験 2 件の最終結果を報告する.

方 法

2 施設で,エボラウイルスザイール株(ZEBOV)の糖蛋白を発現する rVSV をベースとしたワクチン候補の第 1 相プラセボ対照二重盲検用量漸増試験を独立に行った.各施設で成人ボランティア 39 例(計 78 例)を,13 例の群に連続的に登録した.各施設で,rVSV-ZEBOV ワクチンの 3 つの用量(300 万プラーク形成単位 [PFU],2,000 万 PFU,1 億 PFU)のいずれか,またはプラセボを接種した.1 施設では,28 日目に 2 回目の接種を行った.安全性と免疫原性を評価した.

結 果

とくに頻度の高かった有害事象は,注射部位疼痛,疲労,筋肉痛,頭痛であった.ワクチン接種例では,一過性の rVSV ウイルス血症が,初回接種後全例に認められた.有害事象とウイルス血症の発現率は,2 回目の接種後が初回接種後より低かった.ZEBOV キクウィト株の糖蛋白に対する酵素免疫測定法(ELISA)により,28 日目までにワクチン接種例全例でセロコンバージョンが認められた.28 日目の時点で,ELISA と偽ウイルス粒子中和抗体定量法により評価したところ,ZEBOV 糖蛋白に対する抗体価の幾何平均は,2,000 万 PFU 群または 1 億 PFU 群のほうが 300 万 PFU 群より高かった.初回接種後 28 日目における 2 回目の接種により,56 日目の抗体価は有意に上昇したが,その効果は 6 ヵ月目には減弱した.

結 論

このエボラワクチン候補は,抗エボラ抗体応答を誘発した.ワクチン接種後,rVSV ウイルス血症が高頻度に発現したが,一過性であった.今回の結果は,このワクチン 2,000 万 PFU を,曝露前予防を目的としてさらに評価することを支持するものであり,2 回目の接種で抗体応答がブーストされる可能性があることを示唆している.(米国国立衛生研究所ほかから研究助成を受けた.rVSVΔG-ZEBOV-GP 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02269423,NCT02280408)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2017; 376 : 330 - 41. )