September 21, 2017 Vol. 377 No. 12
遺伝的要因と妊娠期間,自然早産との関連
Genetic Associations with Gestational Duration and Spontaneous Preterm Birth
G. Zhang and Others
妊娠期間と早産リスクに遺伝的要因が寄与していることを示すエビデンスはあるものの,遺伝子多様体との強い関連は同定されていない.妊娠期間を含む大規模データセットを用いて遺伝的関連の可能性を検討した.
欧州系の女性 43,568 例から入手したサンプルの発見セットを用いて,妊娠期間を連続形質とし,正期産または早産(37 週未満)を二値転帰とするゲノムワイド関連解析を行った.発見セットでゲノムワイドに有意な関連(P<5.0×10-8),または有意性を示唆する関連(P<1.0×10-6)がみられたゲノム座位について,北欧の 3 つのデータセット(8,643 例)のサンプルを用いて再現性を検証した.
発見データセットと再現データセットにおいて,4 つの座位(EBF1,EEFSEC,AGTR2,WNT4)に妊娠期間との有意な関連が認められた.機能解析では,WNT4 の関連が示唆される多様体がエストロゲン受容体の結合を変化させることが示された.ADCY5,RAP2C の多様体と妊娠期間との関連は,発見セットで有意性が示唆され,再現セットでも有意な関連を示すエビデンスが認められた.これらの多様体には,統合解析でもゲノムワイドな有意性が認められた.EBF1,EEFSEC,AGTR2 に高頻度にみられる多様体は,早産とゲノムワイドに有意な関連を示した.母親と児のペア解析で,これらの多様体は母体ゲノムのレベルで作用することが示唆された.
ゲノムワイド関連解析によって,EBF1,EEFSEC,AGTR2,WNT4,ADCY5,RAP2C 座位における多様体が妊娠期間に関連し,EBF1,EEFSEC,AGTR2 座位における多様体が早産に関連することが明らかになった.これらの遺伝子の,すでに確立されている子宮発育,母体栄養,血管調節における役割も,機序への関与を裏付けている.(マーチ・オブ・ダイムズほかから研究助成を受けた.)