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November 16, 2017 Vol. 377 No. 20

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進行性膠芽腫に対するロムスチンとベバシズマブ
Lomustine and Bevacizumab in Progressive Glioblastoma

W. Wick and Others

背景

ベバシズマブは,非対照試験データをもとに,進行性膠芽腫患者の治療薬として承認されている.第 2 相試験のデータから,ロムスチン(lomustine)にベバシズマブを追加することで,それぞれの単剤療法と比較して全生存が改善する可能性があることが示唆された.われわれは,この併用により,ロムスチン単独と比較して膠芽腫の初回進行が認められた患者の全生存期間が延長するかどうかを検討した.

方 法

化学放射線療法後に進行が認められた患者を,ロムスチンとベバシズマブを投与する群(併用療法群 288 例)とロムスチンのみを投与する群(単剤療法群 149 例)に 2:1 の割合で無作為に割り付けた.O6-メチルグアニン–DNA メチルトランスフェラーゼ遺伝子(MGMT)のプロモーター領域のメチル化状態を評価した.健康関連 QOL と神経認知機能の評価を,ベースラインとその後 12 週ごとに行った.全生存を主要評価項目とした.

結 果

437 例を無作為化した.6 週間の治療サイクル数の中央値は,併用療法群が 3 回,単剤療法群が 1 回であった.全生存イベント(死亡)は 329 件(75.3%)発生し,併用療法に単剤療法を上回る生存延長効果は認められず,全生存期間中央値は併用療法群 9.1 ヵ月(95%信頼区間 [CI] 8.1~10.1),単剤療法群 8.6 ヵ月(95% CI 7.6~10.4)であった(死亡のハザード比 0.95,95% CI 0.74~1.21,P=0.65).参加施設で評価した無増悪生存期間は,併用療法群 4.2 ヵ月に対し単剤療法群 1.5 ヵ月で,併用療法群のほうが 2.7 ヵ月長かった(病勢進行または死亡のハザード比 0.49,95% CI 0.39~0.61,P<0.001).グレード 3~5 の有害事象は,併用投与例 63.6%,単剤投与例 38.1%で発現した.ロムスチンにベバシズマブを追加することによる,健康関連 QOL や神経認知機能への影響はなかった.MGMT 状態から予後が予測された.

結 論

進行性膠芽腫患者では,ロムスチンとベバシズマブを投与することで無増悪生存期間が若干延長したが,ロムスチン単独投与を上回る生存延長効果は得られなかった.(F. Hoffmann–La Roche 社からの無制限の教育助成を受け,EORTC 癌研究基金から研究助成を受けた.EORTC 26101 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01290939,Eudra-CT 登録番号 2010-023218-30)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2017; 377 : 1954 - 63. )