November 23, 2017 Vol. 377 No. 21
小麦粉に関連した志賀毒素産生性大腸菌感染
Shiga Toxin–Producing E. coli Infections Associated with Flour
S.J. Crowe and Others
2016 年に,米国の複数州を管轄するチームが,国内大手製造者の汚染小麦粉に関連した志賀毒素産生性大腸菌(STEC)血清群 O121,O26 感染の集団発生を調査した.
症例の定義は,2015 年 12 月 21 日~2016 年 9 月 5 日に発症した,集団発生株への感染とした.集団発生に関連する曝露を同定するために,集団発生症例を,年齢群,性別,居住州をマッチさせた,STEC 以外の病原体による腸疾患症例と比較した.集団発生との関連が疑われる製品を STEC 検査のために収集し,汚染の共通点を検討した.臨床検体と食品検体からの分離株を用いて全ゲノム配列決定を行った.
24 州で 56 症例を同定した.マッチさせた 22 組の単変量正確条件付きロジステック回帰モデルにより,感染が,あるブランドの小麦粉の使用(オッズ比 21.04,95%信頼区間 [CI] 4.69~94.37)と,調理していない小麦粉の生地を少量口にしたこと(オッズ比 36.02,95% CI 4.63~280.17)に有意に関連することが示された.研究室での検査で小麦粉検体から集団発生株が分離され,全ゲノム配列決定により,臨床検体と食品検体からの分離株は遺伝的に相互に,密接に関連していることが判明した.トレースバック調査により,共通の小麦粉製造施設が同定された.
今回の調査により,STEC 感染集団発生の感染源として,生の小麦粉の関与が示唆された.生の小麦粉は,低水分食品であるものの,食品媒介病原体の媒介物となる可能性がある.