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July 20, 2017 Vol. 377 No. 3

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ANGPTL3 の遺伝的・薬理学的不活性化と心血管疾患
Genetic and Pharmacologic Inactivation of ANGPTL3 and Cardiovascular Disease

F.E. Dewey and Others

背景

アンジオポエチン様 3 遺伝子(ANGPTL3)の機能喪失型多様体は,血漿中のトリグリセリド,低比重リポ蛋白(LDL)コレステロール,高比重リポ蛋白(HDL)コレステロールの低値との関連が示されている.そのような多様体,または ANGPTL3 の治療的拮抗作用が,動脈硬化性心血管疾患のリスク低下に関連するかどうかは明らかにされていない.

方 法

DiscovEHR ヒト遺伝学研究の参加者 58,335 例を対象に ANGPTL3 のエクソンの配列決定を行った.同研究の冠動脈疾患患者 13,102 例と対照 40,430 例において,ANGPTL3 機能喪失型多様体と,脂質値,冠動脈疾患との関連を検討し,4 件の人口集団の研究の冠動脈疾患患者 23,317 例と対照 107,166 例を対象に追跡調査を行った.また,ヒトモノクローナル抗体エビナクマブ(evinacumab)の Angptl3 に対する効果を脂質異常症マウスで検証し,ANGPTL3 に対する効果をトリグリセリドまたは LDL コレステロールが高値の健常ヒトボランティアで検証した.

結 果

DiscovEHR 研究では,ANGPTL3 のヘテロ接合性機能喪失型多様体の保有者は,非保有者と比較して,血清中のトリグリセリド値,HDL コレステロール値,LDL コレステロール値が有意に低かった.機能喪失型多様体は,冠動脈疾患患者の 0.33%,対照の 0.45%に認められた( 補正オッズ比 0.59,95%信頼区間 0.41~0.85,P=0.004).これらの結果は追跡調査でも確認された.脂質異常症マウスでは,エビナクマブで Angptl3 を阻害すると,対照抗体を投与したマウスと比較して,動脈硬化病変面積と壊死物質が大幅に減少した.ヒトでは,エビナクマブによって,プラセボ補正後の空腹時トリグリセリド値に最大 76%,LDL コレステロール値に最大 23%の用量依存的な低下が認められた.

結 論

ヒトにおける ANGPTL3 の遺伝的拮抗作用,およびマウスにおける Angptl3 の治療的拮抗作用は,3 つの主要脂質分画すべてが低値になること,および動脈硬化性心血管疾患のオッズが低下することに関連した.(Regeneron Pharmaceuticals 社ほかから研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01749878)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2017; 377 : 211 - 21. )