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August 10, 2017 Vol. 377 No. 6

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生殖細胞系列 BRCA 変異陽性の転移性乳癌患者に対するオラパリブ
Olaparib for Metastatic Breast Cancer in Patients with a Germline BRCA Mutation

M. Robson and Others

背景

オラパリブ(olaparib)は,生殖細胞系列 BRCA 変異陽性の転移性乳癌患者に対する抗腫瘍活性が期待されている経口ポリ(アデノシン二リン酸リボース)ポリメラーゼ阻害薬である.

方 法

生殖細胞系列 BRCA 変異陽性でヒト上皮増殖因子受容体 2(HER2)陰性の転移性乳癌を有し,転移性乳癌に対してこれまでに受けた化学療法レジメンが 2 種類以下の患者を対象に,オラパリブ単剤療法と標準療法とを比較する無作為化非盲検第 3 相試験を行った.患者を,オラパリブ錠(300 mg を 1 日 2 回)を投与する群と,医師が選択した単剤化学療法(カペシタビン,エリブリン,ビノレルビンのいずれかを 21 日サイクル)による標準療法を行う群に,2:1 の割合で無作為に割り付けた.主要エンドポイントは無増悪生存期間とし,盲検下での独立した中央判定により評価し,intention-to-treat 解析を行った.

結 果

無作為化された 302 例のうち,205 例がオラパリブ群,97 例が標準療法群に割り付けられた.無増悪生存期間中央値は,オラパリブ群のほうが標準療法群よりも有意に長かった(7.0 ヵ月 対 4.2 ヵ月,病勢進行または死亡のハザード比 0.58,95%信頼区間 0.43~0.80,P<0.001).奏効率はオラパリブ群 59.9%,標準療法群 28.8%であった.グレード 3 以上の有害事象の発現率はオラパリブ群 36.6%,標準療法群 50.5%であり,毒性による投与中止率はそれぞれ 4.9%,7.7%であった.

結 論

生殖細胞系列 BRCA 変異陽性の HER2 陰性転移性乳癌患者において,オラパリブ単剤療法による利益は標準療法を有意に上回り,オラパリブ単剤療法は,標準療法と比較して無増悪生存期間中央値が 2.8 ヵ月長く,病勢進行または死亡のリスクが 42%低かった.(AstraZeneca 社から研究助成を受けた.OlympiAD 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02000622)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2017; 377 : 523 - 33. )