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August 10, 2017 Vol. 377 No. 6

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NAD 欠損症,先天奇形,ナイアシン投与
NAD Deficiency, Congenital Malformations, and Niacin Supplementation

H. Shi and Others

背景

先天奇形は,偶然と考えられるよりも高い頻度で同時に生じる表現型の組合せとして現れることがある.そのような症例の多くは,遺伝的原因の同定は困難であることが示されてきた.血縁関係のない患者において,とくに心臓,脊椎,腎の異常の遺伝的原因を検討した.

方 法

複数の先天奇形を有する患者のいる家族で,ゲノム配列決定を用いて,奇形を引き起こす可能性のある遺伝子多様体を同定した.in vitro での酵素活性試験と患者の血漿中代謝物の定量化により,多様体の機能を検討・評価した.CRISPR-Cas9 システムを用いて,同様の多様体をもつマウスモデルを作製した.

結 果

キヌレニン経路の酵素である 3-ヒドロキシアントラニル酸-3,4-ジオキシゲナーゼとキヌレニナーゼをコードする 2 遺伝子(それぞれ HAAOKYNU)で多様体が同定された.3 例に,HAAO 蛋白または KYNU 蛋白で,機能喪失性の変化が予測されるホモ接合性多様体が認められた(HAAO p.D162*,HAAO p.W186*,KYNU p.V57Efs*21).別の 1 例に,ヘテロ接合性 KYNU 多様体(p.Y156*と p.F349Kfs*4)が認められた.変異酵素は in vitro での活性が著明に低下していた.ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)は,キヌレニン経路を介してトリプトファンから新規(de novo)に合成される.患者の血中 NAD は低下していた.Haao 欠損または Kynu 欠損マウスでは,NAD 欠損症により,胚に患者の異常と同様の異常が発現した.欠損マウスでは,在胎中の NAD 欠損症を予防することで異常が回避された.

結 論

ヒトおよびマウスでは,NAD 合成が阻害されることで NAD 欠損症と先天奇形が生じた.マウスでは,在胎中のナイアシン投与により奇形が予防された.(オーストラリア国立保健医療研究審議会ほかから研究助成を受けた.)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2017; 377 : 544 - 52. )