August 17, 2017 Vol. 377 No. 7
早期妊娠高血圧腎症リスクの高い妊娠女性におけるアスピリンとプラセボとの比較
Aspirin versus Placebo in Pregnancies at High Risk for Preterm Preeclampsia
D.L. Rolnik and Others
妊娠早期(37 週未満)の妊娠高血圧腎症は,母児の死亡と合併症の重要な原因である.妊娠中の低用量アスピリンの服用によって,早期妊娠高血圧腎症のリスクが低下するかどうかは明らかにされていない.
多施設共同二重盲検プラセボ対照試験で,早期妊娠高血圧腎症を発症するリスクの高い単胎妊娠女性 1,776 例を,妊娠 11~14 週から 36 週まで,アスピリン 150 mg/日を投与する群とプラセボを投与する群に無作為に割り付けた.主要転帰は,妊娠高血圧腎症に伴う妊娠 37 週未満での出産とした.解析は intention-to-treat の原則に基づいて行った.
152 例が試験中に同意を撤回し,4 例が追跡不能となったため,アスピリン群の 798 例とプラセボ群の 822 例が解析対象となった.早期妊娠高血圧腎症は,アスピリン群では 13 例(1.6%)が発症したのに対し,プラセボ群では 35 例(4.3%)が発症した(アスピリン群のオッズ比 0.38,95%信頼区間 0.20~0.74,P=0.004).同意撤回例と追跡不能例の影響を考慮するための感度分析でも,結果に大幅な変化はみられなかった.遵守率は良好であり,定められた錠剤数の 85%以上を服用した被験者の割合は 79.9%であった.新生児有害転帰およびその他の有害事象の発現率に群間で有意差は認められなかった.
早期妊娠高血圧腎症リスクの高い女性における低用量アスピリン投与は,プラセボと比較して早期妊娠高血圧腎症が診断される割合が低かった.(欧州連合第 7 次フレームワークプログラム,胎児医学財団から研究助成を受けた.EudraCT 登録番号 2013-003778-29,Current Controlled Trials 登録番号 ISRCTN13633058)