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August 17, 2017 Vol. 377 No. 7

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2 型糖尿病におけるカナグリフロジンと心血管・腎イベント
Canagliflozin and Cardiovascular and Renal Events in Type 2 Diabetes

B. Neal and Others

背景

カナグリフロジンは,糖尿病患者の血糖を低下させるほか,血圧,体重,尿中アルブミンを低下させるナトリウム-グルコース共輸送体 2 阻害薬である.カナグリフロジン投与が心血管転帰,腎転帰,安全性転帰に及ぼす影響を報告する.

方 法

CANVAS プログラムでは,2 型糖尿病で心血管リスクの高い患者を対象とした 2 試験,計 10,142 例のデータを統合した.各試験で患者をカナグリフロジン群とプラセボ群に無作為に割り付け,平均 188.2 週間追跡した.主要転帰は,心血管系の原因による死亡,非致死的心筋梗塞,非致死的脳卒中の複合とした.

結 果

患者の平均年齢は 63.3 歳で,35.8%が女性であった.糖尿病の平均罹病期間は 13.5 年であり,65.6%に心血管疾患の既往があった.主要転帰の発生率は,カナグリフロジン群のほうがプラセボ群よりも低かった(1,000 患者年あたり 26.9 例 対 31.5 例,ハザード比 0.86,95%信頼区間 [CI] 0.75~0.97,非劣性の P<0.001,優越性の P=0.02).事前に規定した仮説検定の手順に基づくと,腎転帰に統計学的有意性はないと判断されるものの,尿中アルブミンの進行(ハザード比 0.73,95% CI 0.67~0.79)と,推算糸球体濾過量 40%低下の持続,腎代替療法の必要性,腎臓が原因の死亡から成る複合転帰については,カナグリフロジンが有益である可能性が示された(ハザード比 0.60,95% CI 0.47~0.77).有害反応は,切断のリスクが高いこと(1,000 患者年あたり 6.3 例 対 3.4 例,ハザード比 1.97,95% CI 1.41~2.75)を除き,先行研究で報告されているカナグリフロジンに関連するリスクと一致した.切断は,主に趾または中足骨レベルで行われた.

結 論

2 型糖尿病で心血管疾患リスクの高い患者を対象とした 2 件の試験で,カナグリフロジン投与例は,プラセボ投与例と比較して心血管イベントリスクが低かったが,主に趾や中足骨レベルでの切断のリスクが高かった.(Janssen Research and Development 社から研究助成を受けた.CANVAS 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01032629,CANVAS-R 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01989754)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2017; 377 : 644 - 57. )